爆発物取締罰則違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反、建造物損壊
判決データ
- 事件番号
- 令和3う232
- 事件名
- 爆発物取締罰則違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反、建造物損壊
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2022年11月9日
- 裁判種別・結果
- 棄却
- 裁判官
- 大善文男、大善文男
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 被告人は、F協会(革命軍)の構成員として、氏名不詳者らと共謀の上、以下の2件の事件に関与したとして起訴された。第1事件(立川事件)では、平成25年11月28日頃、時限装置を用いて金属製砲弾を米空軍横田基地に向けて発射し、爆発物を使用したとされた。第2事件(川口事件)では、平成26年10月20日頃、同様の時限装置を用いて民間会社の社屋に向けて砲弾を発射し、窓枠等を損壊したとされた(損害額約48万6000円)。検察官は、被告人が東京都豊島区内のマンション202号室(F協会のアジト)において、時限装置を制御するプログラムを開発し、両事件の時限装置を製造した上、発射装置の設置も行ったと主張した。原審(第一審)は被告人に無罪を言い渡し、検察官が事実誤認を理由に控訴した。 【争点】 被告人が両事件に関与した犯人であるか否か。具体的には、(1)202号室が両事件当時、プログラム開発及び時限装置製造の重要拠点であったか、(2)被告人が同室において時限装置を製造したか、(3)被告人と氏名不詳者らとの共謀が認められるか、が争われた。検察官は、202号室から発見されたプログラム印字紙や配線図等の重要証拠から被告人の指紋が多数検出されたこと、同室の厳重な警戒態勢、被告人が勤務していない時期にデータが作成・更新されていたこと等の間接事実を総合すれば、被告人の犯人性は明らかであると主張した。 【判旨】 東京高裁は、原判決の無罪判断は正当であるとして控訴を棄却した。その理由は以下のとおりである。第一に、202号室の警戒態勢は対外的には厳重であったものの、F協会内部の構成員間では必ずしも厳格ではなく、被告人ら3人以外のメンバーの住民票等が存在し、不明者の指紋も複数検出されていた。第二に、プログラムの枢要部分は202号室の賃借前(平成24年6月30日)にほぼ完成しており、別のアジトで開発されていた可能性がある。第三に、被告人の指紋が重要証拠から検出された点については、被告人が平成27年12月に入居した際の片付けや、その後の生活の中で付着した可能性を排斥できず、また将来の砲弾発射計画の要員として送り込まれた際に重要資料に触れた可能性も否定できない。第四に、ハードディスク内のデータが川口事件後にコピーされていたことから、新たな犯行メンバーへの引継ぎ用であった可能性も残る。以上の間接事実を総合評価しても、被告人が犯人でないとすれば合理的に説明できない事実は認められず、合理的な疑いが残るとした原判決に誤りはないと判断した。