損害賠償等請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和4ネ269
- 事件名
- 損害賠償等請求控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2022年11月10日
- 裁判種別・結果
- その他
- 裁判官
- 岩井伸晃、齊藤顕、園部直子
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 本件は、性被害を訴えてジャーナリストのEを相手に民事訴訟(別件訴訟)を提起していた被控訴人が、ツイッター上で控訴人A(漫画家)が投稿した複数のツイート(本件ツイート1ないし5)及び控訴人Bがリツイートした投稿により名誉を毀損され、名誉感情を侵害されたとして、控訴人Aに対し550万円、控訴人Bに対し110万円の損害賠償等を求めた事案の控訴審である。控訴人Aのツイートは、被控訴人が就職のあっせんを得るためにEに対し枕営業を行い、失敗したため虚偽の性被害を訴えているとの内容をイラスト付きで繰り返し投稿したものであった。控訴人Bは、控訴人Aの上記ツイートをコメントなしでリツイートしていた。原審は、控訴人Aに対し88万円、控訴人Bに対し11万円の支払を命じ、被控訴人は附帯控訴するとともに、控訴人Bの新たなリツイート(控訴人Bリツイート2)に関する追加請求も行った。 【争点】 主な争点は、(1)各ツイートが事実の摘示か意見・論評の表明か、(2)被控訴人の社会的評価を低下させるものか、(3)真実性又は真実相当性による違法性阻却事由の有無、(4)リツイートの不法行為該当性、(5)損害額である。控訴人Aは、本件ツイートは風刺画・意見表明であり被控訴人と同定できないと主張し、Eの不起訴処分等を根拠に真実相当性があると主張した。控訴人Bは、リツイートは限定されたフォロワーへの情報提供にすぎないと主張した。 【判旨】 裁判所は、控訴人らの控訴をいずれも棄却し、被控訴人の附帯控訴を一部認容した。本件ツイート1(精神疾患に関する摘示)については社会的評価を低下させるとまでは認められないとしたが、本件ツイート2ないし5については、一般読者の普通の注意と読み方を基準として、被控訴人が枕営業を行い虚偽の性被害を訴えているとの事実を摘示するものと認定した。風刺画であることをもって直ちに意見・論評の表明とはならず、イラスト中の女性は被控訴人と同定可能であるとした。真実相当性については、Eが枕営業として性的関係を持ったとは主張しておらず、控訴人Aが独自の調査・検討をした形跡もないことから、これを否定した。控訴人Bのリツイートについても、過去の被控訴人に関するリツイート歴等に照らし、単なる情報提供ではなく賛同の意思表示と認定した。損害額については、本件ツイート2ないし5を一連の投稿として一括評価し、控訴人Aに対し慰謝料100万円及び弁護士費用10万円の合計110万円、控訴人Bに対しリツイート1件につき慰謝料10万円及び弁護士費用1万円の合計11万円(追加請求分も同額)の支払を命じた。控訴人Bリツイート2の削除請求は、損害賠償により相当程度回復されるとして棄却した。