AI概要
【事案の概要】 原告は、YouTubeチャンネルを運営し、家族の日常生活を撮影した動画を投稿していた者である。氏名不詳者らが、インターネット上の匿名掲示板に設けられた原告チャンネルの「アンチスレ」に、原告の動画からキャプチャした静止画(合計7枚)を貼付した記事を投稿した。原告は、これらの投稿が原告の動画に係る著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害するものであることが明らかであると主張して、各投稿者が利用したインターネット接続サービスの提供者である被告NTTコミュニケーションズ、被告ソフトバンク及び被告KDDIに対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、発信者情報の開示を求めた事案である。 【争点】 ①原告の各動画の著作物性及び原告の著作権の有無、②各投稿による複製権及び公衆送信権侵害の有無、③引用の抗弁の成否、④発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無が争われた。被告らは、動画は家族の日常を工夫なく撮影しただけで創作性がない、動画の一場面を切り取った静止画では動画の創作的表現を感得できない、アンチスレでの画像利用は批判目的の適法な引用に当たるなどと主張した。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも認容した。まず著作物性について、各動画は子どもの成長の様子や家族間のやり取りを通じた表情等が伝わるよう撮影の場面及び方法を工夫して制作されたものであり、撮影者の思想又は感情を創作的に表現した映画の著作物に該当すると認定した。複製権等の侵害については、各画像は動画の一時点の映像をキャプチャした静止画であり、掲示板への投稿により動画の一部を有形的に再製するとともに公衆送信したものと認めた。引用の抗弁については、各記事は「アンチスレ」に投稿されたものであり、同スレッドには原告やその家族を揶揄・攻撃する投稿が散見されること、各画像は記事中で相応のウェイトを占めるよう比較的大きく表示されコメントより閲覧者の注意を強く惹く態様であること、出典となる動画のURL等が記載されていないことなどから、公正な慣行に合致し引用の目的上正当な範囲内のものとはいえないとして、引用の抗弁を排斥した。