AI概要
【事案の概要】 被告人は、交際相手の被害者(当時48歳)から、被害者と交際する以前の女性関係を度々責められたことなどでストレスを蓄積させていた。令和3年6月3日の昼過ぎ頃から、被告人方において被害者から同様に激しく責め立てられたことにより激高し、同日午後3時頃から午後4時40分頃までの間に、殺意をもって被害者の頸部を両手で絞め付け、頸部圧迫による窒息により死亡させた(殺人)。被告人と被害者は共依存の関係にあり、被告人は被害者から度々暴言や暴行を受けていたが、愛情と日常生活上の依存から別れることができなかった。犯行当時、被告人は遷延性抑うつ反応や心気障害に罹患しており、犯行直前には解離性の症状として幻聴もあった。検察官は懲役17年を求刑し、弁護人は懲役8年の科刑意見を述べた。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人を懲役13年に処した。量刑理由として、まず被害結果の重大性を指摘し、被害者が当時中学1年生の子の母親であったこと、遺族の処罰感情が厳しいことを挙げた。犯行態様については、興奮状態での突発的な犯行ではあるものの、一定時間首を絞め続け、一旦手を緩めた後に再度首を絞めて窒息死させたことから、強固な殺意が認められるとした。他方、被告人に有利な事情として、被告人が精神障害に罹患するほどストレスを蓄積させた主な原因は、被告人に非のない過去の女性関係を被害者から度々責められたことにあること、共依存の関係であったため被害者と別れなかったことを被告人のみに帰責できないこと、犯行当日も被害者からの暴行・脅迫が引き金となったことを一定程度考慮した。もっとも、精神障害が犯行に及ぼした影響は限定的であるとした。同種事案(男女関係に起因する殺人1件の単独犯)の中ではやや軽い部類と位置づけた上で、裁判開始まで遺族への謝罪がなく真摯に罪と向き合っているとはいえない一方、罪自体は認め反省の弁を述べていること、被害者との関係から生じた個別性の強い犯行であり粗暴な傾向はうかがわれず再犯のおそれは余りないことも踏まえ、懲役13年が相当と判断した。