AI概要
【事案の概要】 被告人は、平成30年10月頃から被害者(当時49歳)と交際し同棲を開始した。その後、令和3年4月頃から職場の同僚であるAと結婚を前提に交際を始めたが、被害者との関係を完全には解消せず、二重交際の状態を続けていた。被告人はAとの交際の事実を被害者に隠していたが、同年11月5日、AからのLINEメッセージを被害者に見られ、交際の事実が発覚した。被害者から「そのくそ女を連れてこい。」などと言われた被告人は、被害者がAを「くそ女」と侮辱したと感じて激高し、同日午後1時10分頃、岐阜県羽島市の自宅居室において、被害者の頸部を両手で絞め付け、頸部圧迫による窒息により殺害した(殺人)。さらに被告人は、被害者の衣服を脱がして全裸にした上、周囲が暗くなるまで待ち、同日午後6時33分頃、名古屋市内の岸壁から被害者の遺体を海中に投棄した(死体遺棄)。犯行後、被告人は遺体を投棄した約17分後にはAに「楽しい第二の人生にしよう」とメッセージを送り、翌日にかけて居室の引っ越し作業を済ませ、被害者の遺品を売却し、数日後にはAとディズニーランドのチケットを予約して婚約指輪を購入、約1週間後にはAにプロポーズするなどしていた。 【判旨(量刑)】 裁判所は、殺人の動機について、被害者の発言に激高したというだけでなく、Aとの新生活が阻害されかねないとの考えや、二重交際の行き詰まりなど何らかの事情があったと認定した上で、いずれにしても被告人にとって酌むべき事情は見当たらないとした。被害者との交際関係を完全に解消せず二重交際を続けてきた被告人に責任があり、あまりにも自分本位で身勝手な動機であると評価した。犯行態様については、被害者の首を両手で3〜4分間にわたり力を込めて絞め続けており、強固な殺意の存在は明らかであるとした。死体遺棄についても、被告人は被害者が生前海への散骨を望んでいたと弁解したが不合理として排斥し、罪証隠滅目的であると認定した。犯行後の行動からは被害者への罪悪感や後悔の念が全く感じられず、現在に至っても真摯な反省には疑問が残るとした。犯罪事実を認めていること、前科がないこと、家族の監督意思を考慮しつつも、同種事案の量刑傾向の中ではやや重い部類に属するとして、検察官の求刑懲役18年に対し、被告人を懲役16年に処した(弁護人の科刑意見は懲役8年)。