AI概要
【事案の概要】 原告(ザ・チルドレンズ・ホスピタル・オブ・フィラデルフィア)は、「スタッファー/フィラーポリヌクレオチド配列を含むベクターおよびその使用方法」に関する特許出願について拒絶査定を受け、拒絶査定不服審判を請求したが、特許庁は審判請求不成立の審決をした。原告は、本願発明30(組換えベクタープラスミドのベクターゲノムを含むAAV粒子)について、引用発明(引用例1に記載されたAAV粒子)との間に新規性・進歩性があると主張し、審決の取消しを求めた。具体的には、本願発明30のベクタープラスミドが7.0〜10.0Kbの不活性フィラー又はスタッファーポリヌクレオチド配列を有するのに対し、引用発明のバックボーンは6.98Kbであり、この長さの違いが実質的な相違点であると主張した。 【争点】 本願発明30と引用発明との間に、不活性のフィラー又はスタッファーポリヌクレオチド配列の長さの相違が実質的な相違点として認められるか(新規性の有無)。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、まず本願発明30の技術的意義について検討し、AAV粒子のパッケージング許容限界(約4.7Kb)を下回る長さの導入遺伝子を用いる場合に、不活性のフィラー又はスタッファーポリヌクレオチドを加えてパッケージング許容限界を超えるようにすることで残存DNA不純物を減少させる点にあると認定した。そして、フィラー配列の長さを「7.0〜10.0Kb」とすること自体には独自の技術的意義はなく、課題解決に資する長さを構成するという限度で有意であるにとどまると判断した。引用発明もバックボーンがAAVのパッケージング許容限界を超えるようにスタッファー配列を改変したものであり、両者は技術的意義において同一であるから、フィラー配列の長さの相違は実質的な相違点とはいえないとした。また、原告がバックボーンの長さを長くするほどDNA不純物が減少すると主張した点についても、本願明細書の記載からはそのような事項は開示されていないとして退け、本願発明30は引用例1に記載された発明であり新規性を欠くと結論づけた。