負担金交付請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 「あいちトリエンナーレ2019」を開催・運営する実行委員会(被控訴人)が、名古屋市(控訴人)に対し、負担金交付決定に基づく未払分3380万2000円及び遅延損害金の支払いを求めた事案の控訴審である。名古屋市は、「表現の不自由展・その後」を巡る問題を理由に「事情の変更により特別の必要が生じた」として負担金を減額変更したが、原審は請求を全部認容し、名古屋市が控訴した。 【争点】 名古屋市は「事情の変更により特別の必要が生じたとき」に該当するとして負担金の未交付部分の支払いを拒むことができるか。具体的には、①本件芸術祭が公共事業にあたるか、②展示作品のハラスメント性、③地方自治法232条の2の「公益上必要がある場合」の判断における市長の裁量権、④被控訴人の報告義務違反の有無、⑤概算払であることを理由とする減額の可否、⑥芸術監督の行為が「偽りその他不正な手段」に該当するかが争われた。 【判旨】 控訴棄却。名古屋高裁は原判決を維持し、以下のとおり判断した。 まず、本件芸術祭の準備及び開催運営は被控訴人(実行委員会)が主体的に行っており、愛知県と名古屋市が共催する公共事業とはいえないとした。次に、本件芸術祭の開催目的・趣旨からすれば負担金の交付は地方自治法232条の2の「公益上必要がある場合」にあたり、名古屋市が指摘する3作品の展示を理由に公益性に反するとの市長の判断は裁量権の範囲を逸脱していると認定した。また、負担金交付申請の内容どおりに芸術祭が開催され経費に充てられている以上、芸術監督がA3映像作品の展示決定を速やかに告知しなかったことは「偽りその他不正な手段」に該当しないとした。概算払であることを理由とする減額の主張についても、概算払は過渡し又は不足の精算制度であり、名古屋市が主張する事情はこれにあたらないとして退けた。さらに、被控訴人と名古屋市との間に準委任的関係や合同行為に基づく報告義務も認められないとした。以上から、名古屋市は負担金未交付部分の支払いを拒むことはできないと結論付けた。