発信者情報開示請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、プロゲーマーとして活動し、Twitter(現X)やYouTube等のインターネットサービスを利用して自らの写真や著作物を公開している原告が、氏名不詳者によって動画共有サービス「ニコニコ動画」に投稿された動画(本件動画)において、原告が著作権を有する複数の画像(本件原画像)と同一の画像が無断で使用されたとして、経由プロバイダであるビッグローブ株式会社(被告)に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)5条1項に基づき、発信者の氏名又は名称、住所又は所在地及び電話番号の開示を求めた事案である。本件原画像は、いずれも原告が自ら撮影機器を用いて構図、撮影アングル、露光等を工夫して撮影した写真又は配信動画の一部であり、原告の思想又は感情を創作的に表現した著作物と認められた。氏名不詳者は、本件動画において、本件原画像と同一の画像又はその一部にモザイク処理を施した画像を使用していた。 【争点】 本件の主たる争点は、氏名不詳者による本件動画の投稿行為が原告の著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害したことが明白であるか否か(権利侵害の明白性)である。原告は、本件動画に本件原画像と同一の画像が使用されていることから、氏名不詳者が本件原画像を複製した上でニコニコ動画に投稿したことは明らかであり、原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたことは明白であると主張した。これに対し、被告は不知又は争うとの認否にとどまり、積極的な反論や違法性阻却事由の主張は行わなかった。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を全部認容した。まず著作物性について、本件原画像は原告が撮影機器を用いて構図・撮影アングル・露光等を工夫して撮影した写真又は配信動画の一部であり、原告の思想又は感情を創作的に表現したものであるから、著作物に該当し、原告がその著作権を有すると認定した。次に権利侵害の明白性について、氏名不詳者がニコニコ動画に投稿した本件動画には本件原画像と同一の画像又はモザイク処理を施した画像が使用されていたことから、氏名不詳者が本件原画像を複製したこと及びこれを利用して作成した本件動画を公衆送信したことはいずれも明らかであるとし、原告の著作権(複製権及び公衆送信権)の侵害が明白であると判断した。さらに、当該IPアドレスが被告の管理するものであり被告が発信者情報を保有していること、原告が損害賠償請求権等を行使するために発信者情報の開示を受ける必要があることも認め、開示の正当理由があるとした。以上により、プロバイダ責任制限法5条1項の全要件を充足するとして、被告に対し発信者情報の開示を命じた。