公有水面埋立承認取消処分取消裁決の取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、沖縄県(上告人)が、普天間飛行場の代替施設を名護市辺野古沿岸域に設置するための公有水面埋立事業に関し、沖縄県副知事が沖縄防衛局に対してした公有水面埋立承認の取消し(本件承認取消し)について、国土交通大臣が地方自治法255条の2第1項1号の規定に基づく沖縄防衛局の審査請求を受けて本件承認取消しを取り消す裁決(本件裁決)をしたことから、国(被上告人)を相手に本件裁決の取消しを求めた抗告訴訟である。 経緯として、平成25年12月に当時の沖縄県知事が公有水面埋立法42条1項に基づき埋立てを承認したが、平成30年8月に沖縄県副知事が、承認後に判明した事情により同法4条1項1号及び2号の要件不適合等を理由に承認を取り消した。これに対し沖縄防衛局が国土交通大臣に審査請求し、平成31年4月に同大臣が本件承認取消しを違法かつ不当として取り消す裁決をしたため、沖縄県が令和元年8月に本件訴えを提起した。 【争点】 法定受託事務に係る都道府県の執行機関の処分についての審査請求に対する裁決について、原処分をした執行機関の所属する行政主体である都道府県が取消訴訟を提起する適格(原告適格)を有するか。 【判旨】 最高裁は、上告棄却とし、沖縄県には本件裁決の取消訴訟を提起する原告適格がないと判断した。 その理由として、まず行政不服審査法の趣旨を確認し、同法は国民の権利利益の救済と行政の適正な運営の確保を目的とし、審査庁の裁決は関係行政庁を拘束するものとした。次に、地方自治法255条の2第1項1号が法定受託事務に係る処分の審査請求先を所管大臣とした趣旨について、法定受託事務が「国が本来果たすべき役割に係るもの」であることに鑑み、判断の全国的統一と処分の相手方の公正な判断への期待の保護にあるとした。 さらに、同裁決が国と地方公共団体との間の紛争処理の対象から除外されている趣旨は、処分の相手方を不安定な状態に置くことを防ぐためであり、都道府県が裁決を不服として抗告訴訟を提起することを認めれば同様の事態が生ずるとした。 以上の行政不服審査法及び地方自治法の規定・趣旨に加え、都道府県が裁決の適法性を争える旨の規定が置かれていないことも考慮し、これらの法律は、処分の相手方の権利利益の簡易迅速かつ実効的な救済と事務の適正な処理の確保のため、原処分をした執行機関の所属する都道府県が抗告訴訟により裁決の適法性を争うことを認めていないと解すべきであるとして、本件訴えを却下した原審の判断を是認した。裁判官全員一致の意見である。