AI概要
【事案の概要】 被告人は、SNSの書き込みを閲覧するうちに、特定の政党や宗教団体、特定の国籍の者らに対する敵意を抱き、嫌がらせ目的で以下の3件の犯行に及んだ。①令和4年3月、特定の政党に所属する元衆議院議員の事務所に深夜侵入し、事務所内を物色したが、警報機の発報により窃盗の目的を遂げなかった(建造物侵入・窃盗未遂)。②同年4月、特定の国籍の者らを含む生徒を受け入れる中学校・高等学校の敷地に侵入し、段ボールに火を点けてビニル床シートを焼損させた(建造物侵入・建造物損壊、損害約29万円)。③同年5月、宗教団体の会館敷地に侵入し、コンクリートブロックを投げ付けて窓ガラス2枚を割った(建造物侵入・器物損壊、損害約18万円)。いずれも下見の上、サングラス等で顔を隠して深夜に実行された計画的犯行であった。 【判旨(量刑)】 裁判所は、以下の事情を総合考慮し、懲役3年・執行猶予5年を言い渡した(求刑:懲役3年)。 <不利な事情>いずれも下見やサングラス準備など一定の計画性が認められること、わずか2か月余りの間に立て続けに3件の犯行がなされたこと、第2の犯行が火力を用いた危険な態様であること、被害額が合計約47万円に及ぶこと、被害者やその関係者が強い不安感を抱いたこと等を指摘した。動機について、裁判所は「他者が自らと異なる政治的な意見等を有していることは自由民主主義社会では当然のことであるし、それに対して嫌がらせをしたり、暴力的な手段をもって対抗することは許されない」「仮に特定の国の者が何らかの不正をしたとしても、同じ国籍だからといって無関係の者がその責めを負ういわれはない」と述べ、犯行は歪んだ正義感に基づく独善的なものであり、犯行に至る経緯・動機に酌量の余地は全くないと断じた。 <有利な事情>犯行を認め一定の反省の言葉を述べていること、第1の窃盗は未遂に終わったこと、第3の被害者との間で示談が成立していること、父親が監督を約束していること、前科がないこと。