過失運転致死、道路交通法違反
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、平成30年2月18日午前7時18分頃、東京都渋谷区内の道路左側端にレクサスLS500h(ハイブリッド車)を停車し、エンジンを止めずセレクトレバーをドライブに設定したまま降車しようとした際、誤って左足でアクセルペダルを踏み込んで車両を急発進させ、約320mにわたり時速100kmを超える高速度で暴走させた。車両は歩道上に立っていた被害者(当時37歳)に衝突し頸髄損傷等の傷害を負わせて死亡させるとともに、店舗兼居宅に突入して損壊(損害額約3983万円)した過失運転致死、道路交通法違反の事案である。原審は禁錮3年(執行猶予5年)を言い渡し、被告人側が事実誤認及び訴訟手続の法令違反を主張して控訴した。 【争点】 車両が発進・加速した原因が、被告人が左足で誤ってアクセルペダルを踏んだことにあるのか、それとも車両のブレーキ制御コンピュータやエンジン制御コンピュータ等の不具合によるものかが争われた。 【判旨(量刑)】 東京高裁は控訴を棄却した。①アクセルペダル裏面の圧痕は、ペダルが100%踏み込まれた状態で前方から強い衝撃が加わったことで形成されたと認められること、②EDRデータにより電柱衝突前後のアクセル開度が100%であったこと、③パーキングブレーキのブレーキシューの焼け焦げ・摩耗等からパーキングブレーキがかかった状態で走行したと推認されること、④発進直前のノーズアップ現象及び0.21Gの加速度はアクセルペダルの踏み込みと整合すること等から、車両の発進・加速の原因は被告人が左足でアクセルペダルを誤って踏んだことにあると認定した。弁護人が主張する車両不具合については、機能検査で制動系・駆動系・電気系に事故前の異常は認められず、暴走につながる故障コードも検出されておらず、独立した複数系統の不具合が同時併発するという主張は現実的可能性に乏しいとして排斥した。被告人の左足によるペダル操作の物理的可能性についても、再現実験の結果等から肯定し、訴訟手続の法令違反の主張も退けて、原判決の禁錮3年(執行猶予5年)を維持した。