AI概要
【事案の概要】 本件は、原告(シャープ株式会社)が、被告(株式会社DAPリアライズ)の有する「携帯情報通信装置及び携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム」に関する特許(特許第4555901号)について特許無効審判を請求したところ、特許庁が請求不成立の審決をしたため、その取消しを求めた審決取消訴訟である。本件特許は、携帯情報通信装置において、無線通信手段で受信した高解像度画像データを処理し、内蔵ディスプレイには画面解像度と同じ解像度の画像を、外部ディスプレイにはそれより大きい解像度の画像を表示できるようにしたことを特徴とするものである。 【争点】 主な争点は、(1)本件訂正請求が新規事項を追加するものか(取消事由1)、(2)甲1発明(特開2000-66649号)を主引用例とする進歩性判断の誤り(取消事由2)、(3)甲6発明(特開2004-214766号)を主引用例とする進歩性判断の誤り(取消事由3)、(4)別件訂正審判に係る訂正要件判断の誤り(取消事由4)、(5)明確性要件判断の誤り(取消事由5)、(6)サポート要件判断の誤り(取消事由6)の6点である。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。取消事由1について、本件明細書の記載からテレビ受信用アンテナが高解像度の画像データを伝達する信号を受信する構成が開示されており、訂正事項は新規事項の追加に当たらないとした。取消事由2について、甲1文献にはデータの受信に無線を利用することの記載がなく、画像データが「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」であることについて何らの開示や示唆もないとし、原告主張の周知技術(甲21〜24文献)を加味しても、当業者が相違点4に係る構成を容易に想到できたとはいえないと判断した。取消事由3〜6についても、いずれも審決の判断に誤りはないとして、原告主張の取消事由をすべて退けた。