著作権等に基づく差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 公益財団法人生長の家社会事業団(原告事業団)は、宗教団体「生長の家」の創立者C氏の著作物である「声字即実相の神示」(本件著作物)の著作権を有し、株式会社光明思想社(原告光明思想社)は同著作物の出版権を有していた。被告は、「生長の家」の元本部講師であり、令和4年1月頃、個人的広報誌において「生命の實相」発刊90周年を記念する記事に本件著作物の全文を掲載した出版物を500部発行・配布した。原告らは、被告の行為が複製権及び出版権を侵害するとして、出版物の発行等の差止め、謝罪広告の送付、及び損害賠償52万7900円の支払を求めた。 【争点】 ①本件出版物に関する原告らの著作権・出版権の有無、②司法審査の対象性(宗教団体内部の争いか)、③宗教上の「神示」に著作権法が適用されるか、④著作権法32条1項の引用の成否。 【判旨】 裁判所は、原告らの請求をいずれも棄却した。 争点①につき、原告事業団が本件著作物の著作権を有し、原告光明思想社が出版権を有することを認め、被告が「到彼岸の神示」に依拠したとの主張についても、同書に掲載された「声字即実相の神示」は本件著作物と内容が同一であり、依拠性の認定を左右しないとした。争点②につき、本件は宗教上の教義の内容に立ち入ることなく結論を導き得るものであり、「法律上の争訟」に当たるとした。争点③につき、宗教活動の根幹である「神示」であっても著作権法の適用を除外する規定はないとした。 争点④の引用の成否につき、裁判所は、被告が引用部分を黒枠で囲み出典を明記していることから「公正な慣行」に合致すると認定した。また、本件著作物は数千頁に及ぶ「生命の實相」のうち僅か2頁であり、発刊の由来・意義を的確に表現したものであること、本件出版物全4頁のうち半頁に掲載されたにすぎないこと、出版物全体が「生命の實相」の発刊をたたえる目的に沿う内容であることから、「目的上正当な範囲内」の引用と認めた。原告らの主従関係違反の主張についても、旧著作権法下の判例法理であり、現行法の要件該当性判断における一事情にすぎないとして退けた。