国家賠償等請求控訴事件、同附帯控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和4ネ1676
- 事件名
- 国家賠償等請求控訴事件、同附帯控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2022年12月19日
- 裁判官
- 相澤哲、加藤聡、内田めぐみ
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 軽犯罪法違反被疑事件の被疑者として捜査対象となった被控訴人が、警視庁所属の警察官から違法な職務質問、身体拘束、取調べ、所持品検査、写真撮影、指掌紋記録作成、暴行及び差別的言動を受けたとして、東京都(控訴人)に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害金330万円等の支払を求めた事案である。原審は、深夜にわたり約5時間の取調べを実施し、その後も捜査を継続したことについて違法性を認め、22万円の損害賠償を認容した。控訴人が控訴し、被控訴人が附帯控訴した。 【争点】 ①職務質問の違法性(警察法2条1項の適用範囲、軽犯罪法1条2号該当性の有無)、②中野警察署への任意同行の違法性(必要性・任意性)、③中野署における取扱状況の違法性(当番警察官による暴行・差別的言動、所持品検査、写真撮影・指掌紋記録作成の各違法性)、④取調べの違法性(実質的逮捕該当性、任意捜査の限度逸脱の有無)。 【判旨】 控訴認容、附帯控訴棄却(原判決中の控訴人敗訴部分取消し、被控訴人の請求全部棄却)。 職務質問について、被控訴人が所持していた本件各器具は先端が先細りし握りやすい構造で、人の身体に重大な害を加えるために用いられることも疑われる器具であり、護身用としても販売されていたこと、車両内の小物入れに先端部分から差し込まれ外部から見えない状態であったことから、警察官が軽犯罪法違反の嫌疑を抱いて職務質問を継続したことには一応の合理性があり、違法とはいえないとした。任意同行についても、幹線道路上での職務質問継続が被控訴人にとって好ましくない状況であったことから、相当性を欠くとはいえないとした。当番警察官による暴行等については、被控訴人が事件直後に弁護士宛てに作成した書面(甲2書面)に暴行等の記載がなく、問題点を弁護士に伝える趣旨で作成された書面に記載しないことは甚だ不自然であるとして、被控訴人の供述の信用性を否定した。取調べについては、被控訴人の携帯理由の説明が不自然に変遷していたこと、被控訴人自身が警視庁本部への確認を求めるなど積極的に取調べに応じていたこと、甲2書面に帰宅要求の記載がないこと等から、社会通念上相当と認められる限度を超えた違法なものとまでは認められないと判断した。