損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人ら(株式会社Toshin及び笛吹精工株式会社)が、被控訴人会社(タカハタプレシジョン株式会社)及びその代表者である被控訴人Yに対し、被控訴人会社が控訴人らを被告として提起した特許権侵害訴訟(前訴)の訴え提起及び訴訟追行が不法行為を構成すると主張して、民法709条及び719条1項前段に基づき、連帯して損害賠償(控訴人Toshinに対し約1966万円、控訴人笛吹精工に対し約1892万円)の支払を求めた事案の控訴審である。前訴は水道メーターに用いるマグネット歯車に関する特許権侵害訴訟であり、前訴控訴審で被控訴人会社の請求は棄却されていた。控訴人らは、被控訴人会社が本件発明に新規性がないことを知りながら又は容易に知り得たのにあえて前訴を提起したと主張した。原審は控訴人らの請求をいずれも棄却し、控訴人らが控訴した。 【争点】 被控訴人会社による前訴の訴え提起及び訴訟追行等が、控訴人らに対する不法行為を構成するか。具体的には、被控訴人会社が本件発明(マグネット歯車において回転軸線方向に意図的に間隙を設ける構成)に新規性がないことを認識していたか、又は通常人であれば容易に認識し得たかが争われた。 【判旨】 知財高裁は控訴を棄却した。裁判所は、証人Cの証言について、本件特許出願に至る経緯を相応に合理的に説明し、被控訴人Y代表者の供述とも整合するものであって信用性が高いと判断した。控訴人らが当審で補充主張として提出した各証拠(被控訴人会社作成の特許庁提出意見書、A教授の実験報告書、前澤給装社のクレーム書面、被控訴人会社の図面、B社長の陳述書等)についても、いずれも証人Cの証言の信用性を否定する根拠とはならないとした。そして、被控訴人会社においては、マグネットが左右にガタガタ動くことと回転軸線方向に意図的に間隙を設けることとは技術的に異なる意義を有すると認識していたことがうかがわれ、客観的な間隙の存在から直ちに本件発明の新規性欠如を認識していたとはいえず、通常人であってもこれを容易に認識し得たとは認められないと判断した。特許登録を経ていることから無効理由がないと信頼することにも相応の合理性があるとし、前訴の訴え提起等は不法行為を構成しないと結論付けた。