損害賠償金請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人(エス・アンド・ケー株式会社)は、デンマークの調理器具ブランド「SCANPAN(スキャンパン)」の商品を販売するオンラインショップを運営していたところ、被控訴人Yが自らのオンラインショップ(被告ストア)において、控訴人が制作した商品画像(本件画像①〜⑧を組み合わせたもの)を無断で複製し、ウェブページ上で閲覧可能な状態にしたとして、著作権(複製権)侵害に基づく損害賠償金約113万円を請求した事案である。原審(東京地裁)は5万円の限度で請求を認容し、控訴人が敗訴部分を不服として控訴するとともに、公衆送信権(送信可能化)侵害を請求原因に追加した。 【争点】 ①本件画像の著作物性、②被控訴人による複製又は送信可能化の有無、③損害額の算定方法(ウェブページ単位で算定すべきか、写真素材の利用料相場を参酌すべきか)。 【判旨】 知財高裁は控訴を棄却し、原審の5万円の損害賠償を維持した。 まず著作物性について、本件画像中の写真の一部はスキャンパン社から提供を受けたものであり、また一部の写真はありふれた態様で撮影されたものに過ぎず、文章もごくありきたりの広告文・説明文であるものの、素材の選択・配置・組合せに個性の顕れがうかがわれるとして、本件画像全体としての創作性を認めた。 損害額の算定については、著作権法114条3項に基づき、利用回数のみならず、利用期間、利用態様、著作物の価値、侵害者の主観的態様、市場状況等の諸般の事情を総合考慮すべきとした。その上で、①本件画像は一定の目的をもって一体化された画像の一部が使い回されており、ウェブページごとに独立して損害額を算定することは妥当でないこと、②利用期間が短期間で閲覧回数も限定的であること、③写真の一部は控訴人が著作権を有しないこと、④商業的実用用途を目的とする著作物であり表現される思想・感情は限定的であること、⑤被控訴人の過失は重大なものではないことを指摘した。また、控訴人が提出した新聞社等の写真利用料金表についても、利用条件の詳細が不明であり参考とすることはできないとして、ストア(店舗)単位で1ストア当たり5万円とするのが相当であると判断した。