労働委員会命令取消請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 コンビニエンスストアのフランチャイズ・チェーン(セブンイレブン)を運営する参加人との間でフランチャイズ契約を締結して店舗を経営する加盟者らが加入する労働組合(控訴人)が、参加人に対し団体交渉を申し入れたところ、参加人がこれに応じなかったため、控訴人が不当労働行為救済を申し立てた事案である。岡山県労働委員会は救済命令を発したが、中央労働委員会は初審命令を取り消し、救済申立てを棄却する命令を発した。控訴人が同命令の取消しを求めて提訴したが、原審(東京地裁)は請求を棄却し、控訴人が控訴した。 本件の核心は、コンビニフランチャイズの加盟店オーナーが労働組合法上の「労働者」に該当するか否かという点にあり、該当すればフランチャイザーは団体交渉に応じる義務を負い、拒否すれば不当労働行為となる。コンビニ加盟店オーナーの労働者性は、フランチャイズ・システムの拡大に伴い社会的にも注目を集めた論点である。 【争点】 コンビニフランチャイズ契約を締結した加盟者(控訴人の組合員)が労組法上の労働者に該当するか。具体的には、①加盟者がフランチャイザーの事業遂行に不可欠な労働力として組織に組み入れられているか、②月次引出金等が労務供給の対価としての性格を有するか、③加盟者に事業者としての独立性が認められるか、といった観点が争われた。控訴人は当審で新たに、ILO第198号勧告に基づく雇用関係の隠蔽からの保護、憲法28条の「勤労者」概念からの労働者性肯定、フランチャイズ・チェーン全体との関係からの検討の必要性なども主張した。 【判旨】 控訴棄却。東京高裁は原判決を引用した上で、控訴人の当審における追加主張をいずれも排斥した。 まず、加盟者の労務提供について、年間利益額が600万円台以下の加盟者が28.3%存在するとの指摘に対し、労働の割当ては参加人ではなく加盟者自身が判断しているとして、加盟者が参加人の事業に不可欠な労働力として組み入れられているとも、月次引出金等が労務対価としての性格を有するともいえないと判断した。 ILO勧告については、本件の争点は労組法7条2号の不当労働行為該当性であり、判断に影響しないとした。憲法28条の主張についても、勤労者の権利を具体化したのが労組法であり、結局は労組法上の労働者該当性の問題に帰着するとした。フランチャイズ・チェーン全体との関係については、Aタイプ契約締結者や複数出店者など事業者性が明らかな加盟者も含めた全体像の把握が必要であり、かつ団交の相手はフランチャイザーであってチェーン自体ではないから、チェーンへの組込みが直ちに参加人の事業への組込みと同視できないとした。