AI概要
【事案の概要】 本件は、「入力支援コンピュータプログラム、入力支援コンピュータシステム」を発明の名称とする特許権(特許第4611388号)を有する原告(ソフトウェア開発会社)が、被告シャープが製造し被告KDDIが販売するスマートフォン(SHV44、SHV45、SHV46)が同特許権の技術的範囲に属するとして、民法709条及び特許法102条3項に基づき、連帯して約250万円の損害賠償を請求した事案である。本件特許は、コンピュータの入力手段における命令ボタンが押されている間に操作メニュー情報を表示し、ポインタで指定された命令を継続的に実行する入力支援プログラムに関するものである。なお、原告は被告らに対して先行する同種訴訟(SHV39〜SHV43を対象)を提起しており、いずれも請求棄却判決が確定していた。 【争点】 主な争点は、被告製品にインストールされた「AQUOS Home」(本件ホームアプリ)が本件特許の構成要件を充足するか否かであり、特に(1)本件ホームアプリが「操作メニュー情報」を有するか、(2)「入力支援コンピュータプログラム」に該当するか、(3)「ポインタ」及び「ポインタの座標位置」を有するか等が争われた。原告は、ホームアプリの縮小モードで表示される隣接ページの一部表示画像(一部表示画像)が本件特許の「操作メニュー情報」に該当すると主張した。 【判旨】 裁判所は、本件特許における「操作メニュー情報」とは、画像データに基づいて表示される記号・文字を含む画像自体から、それを選択した場合に実行される命令結果を利用者が理解できるものでなければならないと解釈した。その上で、本件ホームアプリの縮小モードで表示される一部表示画像は、隣接ページの両端の極めて狭い範囲を表示するにすぎず、ショートカットアイコンが存在しない場合には単に細長い四角の画像が表示されるだけであって、利用者がその画像のみからスクロール命令の内容を理解できるものとはいえないと判断した。仮に利用者が一部表示画像を操作してスクロールできることを知っていたとしても、それは画像自体から命令結果を理解したのではなく、操作の習得や他のソフトウェアの経験に基づくものであるとした。したがって、被告製品は構成要件B、E、F、Gを充足せず、本件発明の技術的範囲に属しないとして、原告の請求を棄却した。