著作物使用料分配金等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、音楽著作物の著作権管理事業者である被控訴人(一般社団法人日本音楽著作権協会〔JASRAC〕)との間で、自己の楽曲(本件各楽曲)に係る著作権の管理委託契約を締結した控訴人が、被控訴人に対し、「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金の未払があるとして、合計546万6584円及び遅延損害金の支払を求めた事案の控訴審である。 控訴人は、エクシングが提供する通信カラオケサービス「うたスキ」に自作楽曲を投稿していた。被控訴人とエクシングは、令和2年7月、一般ユーザーが投稿した音源(ユーザー投稿)をJOYSOUND端末に配信・複製する形態の利用について、平成31年4月1日以降の分はインタラクティブ配信の権利関係で許諾する旨の覚書(本件覚書)を締結した。これに伴い、被控訴人は、「うたスキ」に係るカラオケ無料配信サービスの使用料の取扱いを「業務用通信カラオケ」から「インタラクティブ配信」に変更した。原審(東京地裁)は控訴人の請求を棄却し、控訴人が控訴した。 【争点】 控訴人の被控訴人に対する管理委託契約に基づく「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配請求権の存否が争点となった。具体的には、(1)被控訴人がエクシングから「業務用通信カラオケ使用料」を徴収したか否か、(2)仮に徴収していなくても、本件取扱い変更が約款上の定義に反するとして分配補償資金からの分配を受けられるか否か、の2点が争われた。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、控訴を棄却した。 第1の争点について、裁判所は、控訴人が提出したエクシング作成のメール(甲20)の記載内容を検討したが、被控訴人とエクシングが本件覚書を締結し、平成31年4月1日以降のユーザー投稿による利用をインタラクティブ配信として許諾することに合意したこと、及び控訴人の投稿がユーザー投稿に該当することに照らすと、当該メールの記載から直ちに被控訴人が「業務用通信カラオケ使用料」を徴収したとは認められず、他にこれを認める証拠もないと判断した。 第2の争点について、裁判所は、分配補償資金は分配資料の漏れ等により分配対象から欠落した著作物の権利者に対する分配に用いられるものであり、「業務用通信カラオケ使用料」として現に徴収した分配対象使用料が存在することがその前提となると解した上で、被控訴人が「業務用通信カラオケ使用料」を徴収した証拠がない以上、分配補償資金からの分配を求める主張もその前提を欠くとして排斥した。