特許権侵害行為差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 発明の名称を「機能水」とする特許権(特許第6708764号)を有する原告が、被告に対し、被告が製造・販売する「無限七星ボトルドウォーター」(被告製品)が本件特許の請求項3に係る発明の技術的範囲に属するとして、特許法100条1項・2項に基づく被告製品の製造・販売等の差止め及び廃棄、並びに不法行為に基づく損害賠償331万9000円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。本件特許は、ポリアリルアミン又はその塩を機能成分として含有し、魚介類又は精肉の鮮度保持等の機能を有する機能水に関する発明である。原告は飲食関係の衛生管理コンサルタント等を行う者で、関連会社であるリベラル社及びATW社の代表者でもある。被告は飲料水の販売等を目的とする株式会社であり、当初リベラル社から原材料(旧ATW)を購入して被告製品を製造していたが、後にメディカル社から原材料を購入するようになった。 【争点】 主な争点は、(1)被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか(特に構成要件C「魚介類又は精肉の鮮度保持」の機能の有無及び構成要件D「機能水」該当性)、(2)本件特許の優先日前に公然実施された「無限七星FISH」に基づく新規性欠如の有無、(3)先使用権の成否、(4)消尽又は黙示の実施許諾の成否、(5)損害額、(6)差止め・廃棄の必要性である。被告は、愛媛県から清涼飲料水について特定の効果を謳うことに問題がある旨の指導を受けた後は用途を謳わず清涼飲料水として販売しているから構成要件Cを充足しないと主張するとともに、優先日前に販売していた「無限七星FISH」が本件発明と同一であり新規性を欠くと主張した。 【判旨】 裁判所は、まず構成要件充足性について、被告や販売代理店のウェブサイトにおいて、被告製品が食品ロス問題や鮮魚の鮮度保持に関するテレビ番組で紹介された旨が記載され、「魚の切り身が生のままで7日間もつ魔法の水」等と広告されていることから、被告製品は少なくとも魚介類の鮮度保持機能を有し、被告もその用途で販売していると認定し、構成要件C・Dを充足すると判断した。次に、新規性欠如について、旧ATWと現ATWは同一成分であり濃度のみが異なること(現ATWを10倍希釈したものが旧ATW)を、代理店契約の内容、請求書の単価比較、別件訴訟におけるATW社の主張等から認定した。さらに、核磁気共鳴分光法及びゲル浸透クロマトグラフィによる分析結果から、旧ATWの含有成分はポリアリルアミンであり重量平均分子量も本件発明の範囲内であると認め、優先日前に販売されていた「無限七星FISH」が本件発明の各構成要件を充足する公然実施発明に該当すると判断した。以上により、本件特許は新規性を欠き無効審判により無効とされるべきものであるとして、原告の請求をいずれも棄却した。