AI概要
【事案の概要】 原告会社(健康器具の企画・製造・販売等を目的とする株式会社)及びその代表取締役である原告Aが、被告に対して損害賠償を請求した事案である。原告会社は、自社製品である加圧ベルトの販売のため、代表者の原告Aが販売委託先の従業員に対し商品の撮影アングル等を具体的に指示して広告用の商品画像(写真と説明文からなるもの)を作成させていた。被告は、この画像を複製してYahoo!ショッピングサイト上の自己のショップに掲載し、加圧ベルトを正規販売代理店の約207%の価格で転売する目的で出品した。被告は正規の販売権限を有しておらず、注文を受けた場合に正規販売店から購入して転売する、いわゆる無在庫転売を予定していた。原告Aからの問合せを受け、被告は約4か月後に出品を中止しページを削除した。原告会社は著作権侵害、不正競争防止法違反及び不当利得を根拠に110万円を、原告Aは弁護士費用等の損害として30万円をそれぞれ請求した。 【争点】 主な争点は、(1)本件画像が原告会社の職務著作に該当するか、(2)著作権侵害による損害額、(3)不正競争防止法上の周知性・混同・信用毀損の有無、(4)不当利得の成否、(5)原告A個人に対する不法行為の成否である。 【判旨】 裁判所は、まず職務著作について、本件画像は原告会社が広告素材として作成を計画し、代表者である原告Aが撮影方法を具体的に指示し使用画像を選択したこと、説明文も原告Aが作成し原告会社の商号が表示されていること等から、著作権法15条1項の職務著作に該当し、原告会社が著作権を有すると認定した。被告による複製・公衆送信は著作権侵害に当たるとした。被告が主張した著作権法47条の2(譲渡等の申出に伴う複製等)の適用についても、被告が本件画像の譲渡等の権原を有する者とは認められないとして退けた。損害額については、本件画像の内容が比較的簡素な宣伝文句と商品画像にとどまること、掲載期間が約4か月間に過ぎないことを考慮し、著作権法114条3項に基づく使用料相当損害額を5万円と認定した。原告会社の主張する信用毀損については、信用低下を裏付ける具体的事情がないとして否定した。不正競争防止法に基づく請求については、書籍の出版やネットモールでのランキング獲得のみでは商品等表示の周知性を認めるに足りないとして棄却した。不当利得の請求も証拠不十分として退けた。原告A個人の請求についても、会社代表者としての職務執行とは別に個人として営業活動をしていた証拠がなく、費用負担や営業活動への支障を裏付ける証拠もないとして棄却した。結論として、原告会社の請求は5万円の限度で認容し、その余の請求及び原告Aの請求はいずれも棄却した。