AI概要
【事案の概要】 新型コロナウイルスワクチン接種に反対する団体「甲会」の代表である被告人D、及び同会のサブリーダーである被告人A、被告人B、被告人C、被告人Eの合計5名が、ワクチン接種会場に集団で押し入った建造物侵入の事案である。 被告人らは、デモ活動等の適法な手段では新型コロナウイルスワクチン接種を中止させるという目的を達成できないと考え、団体の活動として接種会場に直接乗り込み、接種の中止を求めるという方針を取った。事前に面談の約束を取り付けることもなく、3か所の接種会場に対して計画的に侵入行為を繰り返した。 第1の犯行(令和4年3月15日)では、民間企業が運営する東京都文京区内の集団接種会場に、被告人B、被告人Eら十数名が係員の制止を振り切って強引に侵入した。第2の犯行(同月29日)では、新宿区が設置した集団接種会場に、被告人5名全員を含む数十名が二手に分かれ、所定の受付手続を経ずに侵入した。第3の犯行(同年4月7日)では、渋谷区内の個人経営の小規模クリニックに、被告人5名全員を含む十数名がいきなり侵入した。いずれの会場でも勤務していた職員らは恐怖感や不安感に襲われ、接種会場の平穏は大きく害された。 【判旨(量刑)】 裁判所は、本件各犯行がいずれも多数の共犯者による計画的犯行であり、適法な意見表明の手段を取らず、自分たちの意見を押し通すためにあえて侵入行為に及んだものであるから、厳しい非難を免れないと判示した。 被告人らの役割に応じて量刑に差を設け、団体代表として全犯行を主導した被告人Dを最も重く懲役1年6月とし、全犯行で侵入行為をしたサブリーダーの被告人B及び被告人Eを懲役1年、第2・第3の犯行で侵入した被告人A及び被告人Cを懲役10月とした。 他方、被告人らがいずれも公訴事実を認め、団体に退会届を提出し、各被害者に謝罪文を送付するなど反省の態度を示していること、家族による監督が期待できることなどの事情を考慮し、被告人5名全員に対し3年間の執行猶予を付した(求刑どおり)。