商標権侵害行為差止等請求事件
判決データ
- 事件番号
- 令和3ワ33526
- 事件名
- 商標権侵害行為差止等請求事件
- 裁判所
- 東京地方裁判所
- 裁判年月日
- 2022年12月22日
- 裁判官
- 小口五大、鈴木美智子
AI概要
【事案の概要】 本件は、「バレないふたえ」という登録商標を有する化粧品会社(原告)が、「バレナイ二重」という標章を包装に付した二重瞼形成用化粧品等を製造・販売する被告に対し、商標権侵害を理由として、販売等の差止め、商品の廃棄、約988万円の損害賠償及び謝罪広告の掲載を求めた事案である。原告は平成25年8月以降、本件商標を付した二重瞼形成用化粧品を販売しており、被告は令和2年9月29日から「アイキャッチングビューティふたえリキッド」及び「アイキャッチングビューティふたえメッシュテープ」という商品名の被告商品を販売していた。被告商品の包装表面には黒色ハート形の図形内に「長時間キープ」「バレナイ二重」等の文字が配置され、商品名は包装下部や裏面に記載されていた。 【争点】 主な争点は、(1)本件商標「バレないふたえ」と被告標章「バレナイ二重」の類否、(2)商標法26条1項各号による商標権の効力の制限(普通名称該当性、慣用商標該当性、自他商品識別機能の有無)、(3)損害額、(4)信用回復措置の必要性であった。裁判所は事案に鑑み、まず争点(2)のうち商標法26条1項6号該当性(自他商品識別機能の有無)から検討した。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。その理由として、まず「ばれない」「バレない」「バレナイ」はいずれも秘密等が露顕しないという同一の意味であり、二重瞼形成用化粧品や美容施術の宣伝広告において、化粧品等により一重瞼を二重瞼に整えたことが他人に容易には露顕しないという効能の説明やキャッチフレーズとして、「ばれない」等に「二重」を組み合わせた表現が多数使用されている実情を認定した。そのうえで、需要者である一般消費者は、被告標章「バレナイ二重」を商品の効能等の説明ないしキャッチフレーズとして認識・理解するのが通常であると判断した。被告商品の包装においても、被告標章は「長時間キープ」「リキッドタイプ」等の効能を示す文言と共に配置されており、別途商品名と認識し得る記載も存在することから、被告標章は自他商品識別標識としての機能を有しないと認定した。原告は被告標章が包装の目立つ位置に表示されている点を主張したが、裁判所は、商品の効能等を積極的に訴求するために目立つ位置やデザインで表示することは通常行われることであるとして、この主張を退けた。結論として、被告標章は商標法26条1項6号に該当し、本件商標権の効力は被告標章に及ばないとして、その余の争点を検討するまでもなく原告の請求を全て棄却した。