商標登録取消決定取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告(SJP株式会社)は、「OLYMBEER」の欧文字と「オリンビアー」の片仮名を二段に表示してなる商標(登録第6323630号、指定商品:第32類「ビール、清涼飲料、果実飲料」等)の商標権者である。国際オリンピック委員会(IOC)が登録異議を申し立て、特許庁は、本件商標が「OLYMPIAD」及び「オリンピアード」(引用標章)と類似し、商標法4条1項6号(公益に関する事業を表示する著名な標章と同一又は類似の商標の登録禁止)に違反するとして、商標登録を取り消す決定をした。原告はこの取消決定の取消しを求めて知的財産高等裁判所に出訴した。 【争点】 本件商標「OLYMBEER/オリンビアー」が、オリンピック競技大会を表示する引用標章「OLYMPIAD/オリンピアード」と商標法4条1項6号にいう「類似」に該当するか。具体的には、(1)引用標章がオリンピック競技大会を表示するものとして同号所定の著名性を有するか、(2)本件商標と引用標章が外観・称呼・観念において類似するかが争われた。 【判旨】 裁判所は、本件取消決定を取り消した。まず引用標章の著名性について、オリンピック憲章上の規定や辞書の記載、新聞記事における「オリンピアード」への言及等を検討したが、オリンピック憲章は広く一般の取引者・需要者の目に触れるものとはいえず、新聞記事も「オリンピアード」の意味を解説する内容であること自体がその語の認知度の低さを示すものであるとして、引用標章の著名性には疑義が残ると判断した。次に類似性について、外観では欧文字8文字中冒頭4文字が共通するのみで相紛れるおそれはなく、称呼では「オリンビアー」と「オリンピアード」は濁音・半濁音の差異及び語末の「ド」の有無により相紛れるおそれはなく、観念では本件商標が造語であるため比較できないとした。被告が主張した「OLYM」部分からオリンピック関連の観念を抽出する議論についても、一連の商標から殊更に「OLYM」のみを取り出すのは一般には考え難いとして退け、外観・称呼・観念のいずれにおいても類似しないことは明白であるとして、商標法4条1項6号への該当性を否定した。