傷害致死,監禁,死体遺棄,恐喝未遂,恐喝被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人甲(女性)と被告人乙(甲の交際相手)が、複数の被害者に対し恐喝等を行ったとして起訴された事案である(区分審理による部分判決)。第1・第2の事実として、被告人両名が共謀の上、知人Aに対し、仕事を休んだことや工具を紛失したことに因縁を付けて殴る蹴るの暴行を加え、畏怖に乗じて合計約35万5000円を脅し取った。第3の事実として、被告人甲が被告人乙と共謀し、担当美容師Bに対し、財布を譲り受けたのに退職することに因縁を付けて19万円を脅し取った。第4の事実として、被告人甲が暴力団員と誤信されていた丁と共謀し、同じくBから合計130万円を脅し取った。第5の事実として、被告人甲が丁と共謀し、戊に対し、戊の妻が丁の金を使い込んだなどと因縁を付けて合計305万円を要求したが、戊が弁護士に相談したため未遂に終わった。 【争点】 主な争点は、(1)第1・第2の事実について、暴行開始時に財物奪取の意思があったか(主位的訴因)、それとも暴行後に恐喝の犯意が生じたか(予備的訴因)、及び被告人両名間の共謀の有無、(2)第3・第4の事実について、被告人甲がBから金銭を脅し取ったか否か(被告人甲は、Bが自発的に支払った又は借りた金と主張)、(3)第5の事実について、被告人甲が戊を脅迫したか否か及び丁との共謀の有無であった。 【判旨】 裁判所は、全公訴事実について有罪と認定した。第1・第2の事実については、被害者Aや目撃者の証言が相互に符合し、客観的証拠(質店の売渡証、郵便局の借入記録)にも裏付けられており信用性が高い一方、被告人両名の弁解はいずれも供述の変遷や不自然さから信用できないと判断した。ただし、暴行開始時に財物奪取の意思があったと断定するには合理的疑いが残るとして、主位的訴因ではなく予備的訴因(暴行により畏怖させた後に金銭を脅し取った恐喝)を認定した。第3・第4の事実については、Bの証言が具体的で目撃者の証言とも整合する一方、被告人甲の弁解は、Bが恐怖下にないのに自発的に20万円を申し出たとする点や、消費者金融で多額の借金をしてまで他人のホストクラブ代を立て替えたとする点が不自然であり、信用できないとした。第5の事実については、被害者戊の証言に加え、約3時間に及ぶ通話録音が、被告人甲が丁と一体となり様々な名目で金銭を脅し取ろうとしていた内容を客観的に裏付けているとして、恐喝未遂の共同正犯の成立を認めた。本判決は区分事件の部分判決であり、量刑は併合事件全体の判決で行われる。