AI概要
【事案の概要】 食品用機械の開発・製造・販売・メンテナンス事業を営む原告が、被告との事業譲渡契約に基づき被告の関東事業部の事業を1500万円で譲り受けた後、被告が関東地方で同種事業(関東産機事業部)を再開したことが、契約上の競業避止義務(譲渡日後10年間)に違反するとして、関東地方における競合事業の差止め及び損害賠償金300万円等の支払を求めた事案である。被告は、譲渡対象は旧関東事業部のメンテナンス事業に限られ、関東産機事業部の食品用機械の開発・製造・販売事業は含まれないと主張した。 【争点】 (1) 事業譲渡契約書第10条の競業避止義務違反の有無(譲渡対象事業の範囲) (2) 会社法21条3項違反の有無 (3) 損害の有無及び損害額 【判旨】 裁判所は、競業避止義務違反に基づく差止請求を一部認容し、損害賠償請求を棄却した。 まず、事業譲渡の対象範囲について、本件事業譲渡当時、関東産機事業部の責任者が退職して同事業部は事実上休止状態にあり、被告の関東地方における事業はそのほとんどを旧関東事業部が行っていたと認定した。また、事業譲渡契約書には関東産機事業部に資産や契約等を残す旨の記載がなく、契約書の草案を作成した被告が同事業部を対象外とする意図であれば、その旨が明記されてしかるべきであったとした。役員会議の議事録にも関東産機事業部を譲渡対象外とする記載は存在しなかった。これらを総合し、譲渡対象は被告の関東地方における食品用機械の開発・製造・加工・販売・メンテナンスの事業等を包括的に含むと判断した。 被告の競業行為については、関東産機事業部再開の案内状送付、神奈川県内への事務所設置、食品用機械の営業品目を掲げての事業継続の各事実から、競業避止義務違反を認めた。差止めの範囲として、関東地方内の事業者への直接営業のほか、関東地方以外の事業者を通じた間接的な納品行為も含めた。 他方、損害賠償請求については、原告主張の売上減少額や被告による具体的な販売行為を裏付ける客観的証拠が不足しているとして、全額棄却した。