AI概要
【事案の概要】 原告(特許権者・株式会社ナチュラレーザ・ワン)は、「2軸ヒンジ並びにこの2軸ヒンジを用いた端末機器」に関する特許(特許第5892573号、請求項1〜3)を有していたところ、被告(四方工業株式会社)が無効審判を請求した。特許庁は、請求項1〜3に係る発明はいずれも進歩性を欠くとして全部無効とする審決をした。原告がこの審決の取消しを求めて知財高裁に出訴した事案である。本件特許は、ノートパソコン等の端末機器において第1の筐体と第2の筐体を合計360度にわたって規則性を持って開閉できる2軸ヒンジに関するものである。 【争点】 主な争点は、本件各発明の進歩性の判断の当否であり、具体的には以下の2点である。 (1)取消事由1:甲1発明(台湾実用新案)を主引用発明とした場合の本件発明1及び3の進歩性(フリクショントルク発生手段の構成に関する相違点1'及びロック部材の一体形成・スライド構成に関する相違点2) (2)取消事由2:甲2発明(台湾実用新案)を主引用発明とした場合の本件発明2及び3の進歩性(連結部材とスライドガイド部材を所定間隔に設ける構成に関する相違点A及びロック部材の一体形成に関する相違点B) 【判旨】 裁判所は、請求項1については審決の判断を維持し、請求項2及び3については審決を取り消した(一部認容)。 請求項1(取消事由1)について、裁判所は、甲1発明の支持片511がフリクションプレートに、ストッパ輪がフリクションワッシャーにそれぞれ相当し、相違点1'は実質的な相違点ではないと判断した。また、相違点2についても、切換片の揺動をスライドに置換することは周知慣用手段から容易に想到し得ると判断し、本件発明1は甲1発明に基づき容易に発明できたとした。 請求項2(取消事由2)について、裁判所は、甲2発明は軸スリーブ及びハウジングを備えることで回転軸を安定支持できる構成を既に有しており、甲1発明の一対の支持片を設ける構成(甲1文献記載技術的事項2)を適用する必要がないこと、また、甲1発明の支持片を含む各部材は自動閉合機能やストッパ機構と機能的に連動し一体的に構成されているため、支持片のみを取り出して甲2発明に適用する動機付けがないと判断した。よって本件発明2は容易に発明できたとはいえず、本件発明2を引用する本件発明3も同様とした。 以上により、審決のうち請求項2及び3に係る部分を取り消し、請求項1に係る原告の請求は棄却した。