著作権に基づく差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 現代美術家である控訴人(一審原告)が、公衆電話ボックス様の造作水槽に水を満たし金魚を泳がせた美術作品「メッセージ」を平成12年に発表したところ、被控訴人ら(一審被告・郡山柳町商店街協同組合及びデザイン関係者P2)が、大和郡山市内の喫茶店に類似の作品「金魚電話ボックス」を制作・展示した。控訴人は、被控訴人らが控訴人の著作権(複製権又は翻案権)及び著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権)を侵害したとして、制作差止め、造作水槽等の廃棄、及び損害賠償金330万円の連帯支払を求めた。原審(奈良地裁)は控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した。 【争点】 (1) 原告作品の著作物性が認められるか、(2) 被告作品は原告作品の複製又は翻案に当たるか(表現の共通性と依拠性)、(3) 著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権)の侵害の有無、(4) 被控訴人らの故意・過失の有無、(5) 損害額。 【判旨】 控訴一部認容(原判決変更)。裁判所は、原告作品の著作物性について、電話ボックスを水槽化するアイデア自体や金魚の数だけでは創作性を認めがたいとしつつも、公衆電話機の受話器がハンガー部から外されて水中に浮いた状態で固定され、受話部から気泡が発生しているという表現には、通話状態をイメージさせる暗喩的表現として控訴人の個性が発揮されており、これと水槽に金魚を泳がせる表現とを組み合わせた全体として創作性を認め、美術の著作物に該当すると判断した。被告作品は原告作品の創作性ある部分の全てを再製しており、相違点(電話機の色・機種、屋根の色等)はいずれも創作性のない部分に関するものであるとして、複製権侵害を認定した。依拠性については、被控訴人P2が控訴人からの度重なる著作権侵害の抗議を認識していたこと等から肯定した。また、氏名表示権及び同一性保持権の侵害も認め、損害賠償として利用料相当額25万円、慰謝料25万円、弁護士費用5万円の合計55万円を認容した。被告作品の制作差止め及び造作水槽等の廃棄請求も認容した。