裁決取消等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人らは、児童福祉法27条1項3号に基づく里親委託措置により、平成18年生まれの児童(本件児童)を養育里親として約6年8か月にわたり養育していた。東京都杉並児童相談所長(処分行政庁)は、平成29年に養育里親名簿への登録を取り消した上で、本件児童に係る里親委託措置を解除する処分(本件里親委託措置解除処分)及び控訴人らに対する委託の解除(本件委託解除)を行った。控訴人らは、これらの処分が裁量権の逸脱・濫用に当たる違法な処分であるとしてその各取消しを求めるとともに、東京都知事がした審査請求却下裁決の取消しを求めた。原審(東京地裁)が控訴人らの訴えをいずれも却下したため、控訴人らが控訴した。 【争点】 (1) 里親委託措置解除処分の取消訴訟につき、里親である控訴人らに原告適格が認められるか。 (2) 里親に対する委託の解除(本件委託解除)に行政処分としての処分性が認められるか。 (3) 審査請求却下裁決の取消しを求める訴えの利益があるか。 【判旨】 控訴棄却。東京高裁は、原判決の判断を維持し、控訴人らの訴えはいずれも不適法であると判断した。争点(1)について、児童福祉法27条1項3号の里親委託措置は、児童を里親に委託するか施設に入所させるかの措置を定めるものであり、同法には具体的な委託先の里親を選定した上で措置がされることを前提とした規定は存在しないとした。里親委託措置を解除する処分は親権者等の権利に対する制限を解除する法的効果を有するにとどまり、里親の権利・利益に制限を課すものではないとして、里親には原告適格が認められないと判示した。控訴人らが主張した児童の権利に関する条約や代替的養護指針に基づく里親の権利保障についても、これらの規定の趣旨は児童の利益の保護にあり、里親の個別的利益を法律上保護する趣旨を含むとは解されないとした。争点(2)について、知事等と里親との関係は民法上の準委任に準じた公法上の契約関係であり、その解除は公権力の行使には当たらず処分性を有しないとした。争点(3)についても、上記判断を前提に訴えの利益を否定した。