AI概要
【事案の概要】 本件は、商標法50条1項に基づく商標登録取消審判の審決取消訴訟である。原告(株式会社京都新聞ホールディングス)は、「滋賀新聞」の文字を含む商標(第16類「新聞」を指定商品とする登録第2127589号)の商標権者であった。原告は平成16年から「滋賀新聞」を毎週発行していたが、平成19年2月24日号をもって休刊し、以後は過去の発行号をウェブサイト上で無償公開していた。被告がこの商標について不使用取消審判を請求したところ、特許庁は商標登録を取り消す旨の審決をしたため、原告がその取消しを求めて知的財産高等裁判所に出訴した。 【争点】 第一の争点は、本件ウェブサイトへの商標掲載が商標法2条3項8号の「商品に関する広告」に該当するか否かである。原告は、休刊中であることの開示が復刊時の宣伝・広告に当たると主張した。第二の争点は、第16類の指定商品「新聞」に電子版の新聞が含まれるか否かである。原告は、インターネットの普及により新聞の概念は紙媒体に限定されず電子版も含むと主張し、ウェブサイト上での商標使用が指定商品についての使用に該当すると主張した。原告は需要者アンケートの結果(約75%がウェブサイトを「新聞」と認識)も証拠として提出した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は原告の請求を棄却し、審決を維持した。第一の争点について、本件ウェブサイトのトップページには本件新聞が休刊したことが記載されているのみで、復刊の告知等はなく、閲覧者に本件新聞を新たに購読しようと思わせる記載内容ではないから、商標法2条3項8号の「広告」には当たらないと判断した。第二の争点について、商標法施行令の別表では第16類は「紙、紙製品及び事務用品」とされ、電子出版物は第9類に分類されていることから、第16類の「新聞」とは紙媒体のものを意味し電子出版物を含まないと判示した。社会通念上、新聞の概念が電子版を含むように変貌しつつあるとしても、商品区分の判断は商標法施行令及び施行規則の各別表によらなければならず、これらに反する判断はできないとした。その上で、原告には第9類「電子出版物」として商標登録することにより保護を図る余地があることも付言した。