著作権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 四柱推命学に基づく「開運推命おみくじ」(100種類のおみくじからなる文書。以下「本件文書1」)の著作者・著作権者である原告(中国思想研究者)が、おみくじを業として複製・販売する被告に対し、著作権(複製権・翻案権・譲渡権)及び著作者人格権(同一性保持権)の侵害を理由として、差止め・廃棄及び損害賠償を求めた事案である。 原告と被告の間には過去2回にわたる裁判上の和解の経緯がある。第1次和解(平成22年)では、原告が本件文書1の著作者・著作権者であることが確認され、平成25年3月末まで被告に複製・販売が許諾された。その後も許諾が更新されたが、被告は許諾期間満了後も無断で複製・販売を継続したため、第2次和解(平成29年3月)で被告は同月末限りで本件文書1の複製・販売を停止し、印刷原版を廃棄する旨合意した。しかし被告は第2次和解後も本件文書1の複製・販売を継続したほか、字句をワープロ打ちにし、ひらがなを漢字に変更する等の軽微な改変を加えた本件文書2及び3を作成して寺院に販売した。本件文書2・3の20番には原告が記載しなかった学業運が追加され、本件文書3の86番では異性運が原告の記載と真逆の内容に改変されていた。 【争点】 ① 被告による本件文書1ないし3の作成・複製販売が、原告の著作権(複製権・翻案権・譲渡権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害するか ② 原告の損害額(著作権法114条1項又は2項に基づく算定、著作者人格権侵害による慰謝料) ③ 差止め及び廃棄の必要性 【判旨】 裁判所は、本件文書2及び3は本件文書1に依拠して作成されたものであり、両者の運勢等の説明はほとんど同一で、相違点も文末表現の修正やひらがなの漢字化等の軽微かつ形式的な変更にすぎないとして、本件文書2・3の作成は原告の複製権を侵害すると認定した。また、学業運の追加(20番)や異性運の真逆内容への改変(86番)は同一性保持権の侵害に当たるとした。 損害額について、著作権法114条1項に基づき、原告のおみくじ1枚当たりの利益70円に被告の譲渡数量(D寺向け81,117枚、C寺向け720枚、E寺向け0枚)を乗じた572万8590円を著作権侵害の損害と認めた。E寺向けは販売後に全量返品・代金払戻しがなされたため損害は0円とした。これに著作者人格権侵害の慰謝料50万円、弁護士費用50万円を加えた合計672万8590円の損害賠償を認容した。差止め及び複製物等の廃棄請求も認めたが、おみくじ配布先を決定するための「年表」データの廃棄請求は、年表自体は本件文書1と一体とはいえないとして棄却した。