AI概要
【事案の概要】 原告は、大阪府内において建物を賃貸し賃貸料収入を得ていた個人事業者である。大阪府A府税事務所長は、原告の不動産貸付けが地方税法所定の「不動産貸付業」に該当するとして、平成11年分から平成23年分まで(平成13年分・14年分を除く)の個人事業税の賦課決定処分を行った。大阪府の通達では、不動産貸付業の認定基準として、建物の貸付面積が600平方メートル以上(面積要件)かつ賃貸料収入が年1000万円以上(収入要件)という均衡課税要件を定めていた。原告の賃貸料収入は、消費税等相当額を含めると年1000万円以上であったが、消費税等相当額を除くと年1000万円未満であった。大阪府は平成29年に収入要件の判断基準を変更し、消費税等相当額を含めない額を基準とする見解に改め、平成30年に原告に対し過去5年分の個人事業税合計71万3100円を還付した。しかし、地方税法の賦課決定の期間制限により還付されなかった平成11年分から平成23年分の個人事業税合計170万2500円について、原告が被告(大阪府)に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求権又は賦課決定処分の無効を理由とする不当利得返還請求権に基づき、その支払を求めた事案である。 【争点】 1. 国家賠償法上の違法性及び過失の有無(府税事務所長が収入要件の判断において消費税等相当額を含めた賃貸料収入額を基準としたことに職務上の注意義務違反があるか) 2. 損害の発生及びその数額 3. 過徴収された個人事業税を民法上の不当利得として返還請求できるか 【判旨】 請求棄却。争点1について、裁判所は、地方税法が個人事業税の課税標準の算定等において課税庁及び納税義務者の事務手続の簡素化を図っていること、所得税法上の「収入」は採用する経理方式(税込・税抜)により消費税等の額を含むか否かが異なる概念であること、全国47都道府県中38の自治体が収入基準の判断で消費税等を除外していなかったこと、及び本件処分当時この論点に関する裁判例・学説が存在しなかったことを総合考慮し、収入要件の解釈として消費税等相当額を含めない見解が当然の解釈であったとはいえないと判断した。したがって、府税事務所長が消費税等相当額を除いた賃貸料収入額を基準にしなければならないという職務上通常尽くすべき注意義務を負っていたとはいえず、国家賠償法上の違法性及び過失は認められないとした。争点3について、裁判所は、地方税法17条の過誤納金の還付規定は民法の不当利得の特則であり、過誤納金について民法の不当利得の規定の適用を排除する趣旨であると解し、民法上の不当利得として構成された請求は主張自体失当であるとした。