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最高裁

殺人,殺人未遂,傷害被告事件

判決データ

事件番号
令和2あ96
事件名
殺人,殺人未遂,傷害被告事件
裁判所
最高裁判所第二小法廷
裁判年月日
2021年1月29日
裁判種別・結果
判決・破棄自判
裁判官
草野耕一菅野博之三浦守
原審裁判所
東京高等裁判所

AI概要

【事案の概要】 被告人は、千葉県印西市内の老人ホームで准看護師として勤務していた者である。被告人は、平成29年2月5日、同僚のAに対し、睡眠導入剤(ブロチゾラム)数錠をひそかにコーヒーに混入して飲ませた。Aは急性薬物中毒の症状を呈し、意識障害やもうろう状態に陥ったが、被告人はその様子を目の当たりにしていた。Aは一度自動車を運転して物損事故を起こし、ふらつきながら事務室に戻って眠り込んだが、被告人はAの車が走行可能であると告げて再び運転して帰宅するよう送り出した。Aは運転中に仮睡状態に陥り、対向車線に進出して対向車と衝突する事故を起こし、胸部大動脈完全離断等の傷害により死亡した。対向車の運転者Bも傷害を負った(第1事件)。被告人は第1事件でAが死亡した事実を認識した後、同年5月15日にも、同僚C及びその夫Dに対し、同様に睡眠導入剤(ゾルピデム)を混入した飲み物を飲ませた上、意識障害の状態にあるDに自動車を運転してCと共に帰宅するよう仕向けた。Dは仮睡状態に陥って対向車と衝突する事故を起こし、C、D及び対向車の運転者Eがそれぞれ傷害を負った(第2事件)。 【争点】 事故の相手方であるB及びEに対する未必の殺意の有無が争点となった。第1審は、被告人がAらに睡眠導入剤を摂取させた上で自動車の運転を仕向けた行為は、運転者・同乗者のみならず巻き込まれた第三者を死亡させる事故を含むあらゆる態様の事故を引き起こす危険性が高く、被告人にはB及びEに対する未必の殺意があったと認定した。これに対し控訴審は、事故の相手方は自らの命を守る行動をとることが一応可能であり死亡の可能性はAらより低かったとした上、人が死亡する危険性が高いとはいえない行為について殺意を認めるには、死亡の結果を期待するなどの意思的要素が必要であるとの判断枠組みを示し、B及びEに対する殺意を否定して第1審判決を破棄した。 【判旨(量刑)】 最高裁は、控訴審判決を破棄し、第1審の有罪判決(懲役24年)を維持した。まず、被告人の行為は交通事故を引き起こす危険性が高く、事故の態様次第で相手方を死亡させることも具体的に想定できる程度の危険性があったと評価した。控訴審が指摘した事故回避の可能性については、Aらは睡眠導入剤の摂取を認識しておらずもうろう状態にあったため自ら運転を避止する可能性は低く、他の職員が制止する可能性も低かったとした。対向車の運転者による回避も観念的には想定できるが実際に回避されるとは限らないとした。さらに、被告人はAの物損事故や第1事件でのA死亡を認識しており、自己の行為の危険性を十分認識していたのであるから、事故の相手方が死亡することも想定の範囲内であったとして、B及びEに対する未必の殺意を認めた第1審の判断は不合理ではないと結論づけた。控訴審が求めた「死亡結果の期待」などの意思的要素は本件の殺意認定に必要なものではなく、控訴審判決には刑訴法382条の解釈適用の誤りがあるとした。本判決は、殺意の認定における認識的要素と意思的要素の関係について重要な判断を示した最高裁判例である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。