AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社ベガスベガス)は、「ベガス」の片仮名を横書きにした登録商標(指定役務:第41類「娯楽施設の提供」等)の商標権者である。被告が商標法50条1項に基づく不使用取消審判を請求したところ、特許庁は第1次審決で請求不成立(商標の使用あり)としたが、知財高裁の前訴判決で取り消された。差戻し後の審理で、特許庁は本件審決において、原告の折込チラシに記載された「ベガス北仙台店」等の標章中の「ベガス」の文字部分は、店舗名称「ベガスベガス」を一部省略した略称にすぎず、役務の出所識別機能を果たしていないとして、商標法50条の「使用」に該当しないと判断し、指定役務「娯楽施設の提供」についての商標登録を取り消す旨の審決をした。原告がこの審決の取消しを求めて提訴した。 【争点】 原告が要証期間(審判請求の登録前3年以内)に、折込チラシにおいて「ベガス北仙台店」の標章を使用した行為が、登録商標「ベガス」の商標法50条所定の「使用」に該当するか。具体的には、(1)折込チラシ中の「ベガス北仙台店」の文字を他の記載部分から分離して独立した標章として観察できるか、(2)「ベガス北仙台店」中の「ベガス」の文字部分が役務の出所識別標識としての機能を有するか、(3)同標章が本件商標と社会通念上同一の商標といえるかが争われた。 【判旨】 裁判所は、本件審決を取り消した。まず、折込チラシ3の裏面の二重の円の中に記載された「ベガス北仙台店」の文字は、色彩が異なる「パチンコ・スロット」「11機種導入」の文字と分離して観察でき、独立した標章として認識できると判断した。そして、「ベガス北仙台店」の標章中の「北仙台店」の文字部分は単に役務提供の場所を表示するものにすぎず、出所識別標識としての機能を有しないのに対し、「ベガス」の文字部分はそれ自体が「ラスベガス」を想起させる造語であり、「ベガスベガス」の略称としての意味合いも有するものの、その文字部分のみから役務の出所識別標識としての機能を有する要部であると認定した。字体の違いはあるが構成文字が同一であること等から、「ベガス北仙台店」の標章は本件商標と社会通念上同一の商標であると認めた。被告の「略称の使用は出所識別機能を果たさない」との主張に対しては、一つの広告にブランド名の商標とその略称の商標が記載されることは取引上普通に行われており、いずれもが出所識別標識として認識され得ることは不自然ではないと判示した。以上から、原告は要証期間内に指定役務について本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたと結論付けた。