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【事案の概要】 沖縄県名護市辺野古沿岸域における普天間飛行場代替施設建設事業(辺野古埋立事業)に関し、沖縄防衛局は、埋立区域内の造礁サンゴ類を周辺海域に移植して避難させるため、沖縄県知事に対し、沖縄県漁業調整規則41条に基づく特別採捕許可を2度にわたり申請した(対象は小型サンゴ類合計約3万9590群体)。しかし、原告(沖縄県知事)は、標準処理期間(45日)を大幅に超過しても何らの処分もしなかった。原告は、埋立区域に軟弱地盤が存在し設計概要の変更承認申請すらされていないこと、埋立承認の取消処分の効力を争う別件訴訟が係属中であること等を理由に、申請の必要性を判断できないとしていた。これに対し、被告(農林水産大臣)は、原告の不作為が法令に違反し著しく適正を欠くとして、地方自治法245条の7第1項に基づき、各申請について許可処分をするよう是正の指示を行った。原告は、国地方係争処理委員会への審査申出を経た上で、本件是正の指示の取消しを求めて本訴を提起した。 【争点】 主な争点は、①本件各申請について許可処分をしない原告の事務遂行に法令違反等があるか(特別採捕許可の必要性基準・妥当性等基準への適合性を含む)、②是正の指示の名宛人が「沖縄県知事」とされていることが関与の法定主義に反するか、③特定の処分(許可処分)を求める是正の指示が関与の制度趣旨を逸脱するかである。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を棄却した。まず、本件各申請について処分をすべき「相当の期間」は既に経過しており、原告の不作為は違法であると認定した。必要性基準については、沖縄防衛局が埋立承認に基づく工事を適法に実施し得る法的地位を有しており、軟弱地盤部分の地盤改良工事とは無関係に施工可能なK8護岸・N2護岸の造成工事が実施されれば本件サンゴ類は死滅を免れないとして、移植の公益的必要性は明らかであり、必要性を否定することは裁量権の逸脱・濫用に当たるとした。妥当性等基準についても、移植の内容・方法等は埋立承認時の環境保全図書に記載された方針に合致し、同種許可事例と比較して同等以上に手厚いものであって、移植目的に照らし適切であると判断した。是正の指示の名宛人の点については、指示文書全体の記載から沖縄県に対する指示であることは明らかであるとし、特定の処分を求める指示の点についても、許可処分をしないという違法状態の是正には許可を求める指示が必要であったとして、いずれの違法事由も認めなかった。