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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成31行ケ10041
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2021年2月4日

AI概要

【事案の概要】 本件は、創傷被覆材(傷を覆って治療するための医療材料)に関する特許(特許第5433762号)の無効審判についての審決取消訴訟である。被告(特許権者)は、透液層と吸収保持層を備え、透液層に特定の開孔率・深さ・密度の貫通孔を設けた創傷被覆材に関する特許を有していた。原告が特許無効審判を請求したところ、特許庁は一部の請求項(1〜5、8、14〜19)に係る特許を無効としつつ、請求項6、7、9〜13については審判請求不成立(特許有効)とする審決をした。原告は、特許有効とされた請求項6、7、9〜13に係る部分の取消しを求めて本件訴訟を提起した。 本件特許の発明は、創傷部位からの滲出液による湿潤環境を維持しながら治療する湿潤治療法に適した創傷被覆材に関するもので、透液層の貫通孔の開孔率、深さ、密度等を特定の数値範囲とすることにより、創傷部位上に適量の滲出液を保持する貯留空間を形成する点に特徴がある。 【争点】 (1) 進歩性の判断の誤り(取消事由1-1〜1-3):主引用例である甲1(傷手当用品に関する公報)に、甲4や甲7(いずれも創傷被覆材に関する公報)に記載された貫通孔の数値範囲等の技術的事項を適用して、本件発明6、7、9〜13に容易に想到し得たか。特に、甲1発明の「孔」は体液を吸収層へ移動させる機能しか持たないのに対し、本件発明は貫通孔自体に滲出液を貯留する機能を持たせている点で、適用の動機付けがあるか。 (2) サポート要件違反(取消事由2):請求項1の「開孔率が3.07%以上」との記載が、明細書に好ましい範囲として記載された「15〜60%」と乖離しており、発明の課題を解決できると認識できるか。 (3) 明確性要件違反(取消事由3):「開孔率が3.07%以上」との記載について上限が規定されていないことが明確性要件に反するか。 なお、優先権主張の有効性(特許法41条2項の適用)も争点となり、裁判所は優先権主張を認めず、進歩性の判断基準日を国際出願日(平成23年5月31日)とした。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。 進歩性について、裁判所は、甲1発明における被覆層の「孔」は傷からの体液を吸収層へ移動させる機能を有するにとどまり、創傷を湿潤状態に保つ機能は吸収層(ゲル形成物質を含む)が担っていると認定した。甲7の貫通孔も創傷面からの滲出液を貯留する機能を有せず、甲4の貫通孔の構造は初期耐水圧性を備える第2層等と一体化した全体構成において技術的意義を有するものであるから、いずれも甲1発明に適用する動機付けがないと判断した。原告が主張する技術常識についても、わずか2〜3の特許文献に記載されているにすぎず、創傷被覆材一般に妥当する技術常識とは認められないとした。 サポート要件については、「開孔率3.07%」は明細書記載の孔径の最小値と密度の最小値から算出されるものであり、明細書に記載されているに等しい事項であるとして、要件に適合すると判断した。明確性要件についても、「3.07%以上」という記載自体は明確であり、上限が規定されていなくても特許権の範囲の予測可能性を奪うものではないとした。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。