AI概要
【事案の概要】 被告が保有する「情報管理方法,情報管理プログラム,及び情報管理装置」に関する特許(特許第3754438号)について、原告(ソフトバンクロボティクス株式会社)が請求項1及び14の無効審判を請求したところ、特許庁が「審判の請求は成り立たない」との審決をしたため、原告がその取消しを求めた事案である。本件特許は、コンピュータが木構造のノードデータを文書ファイルとして管理し、ノードデータに含まれる代入用スクリプトを実行して自ノード変数データの値を更新する情報管理方法に関するものである。原告は、先行技術文献(甲1・特開平6-175852号公報)に基づき、新規性欠如、進歩性欠如、実施可能要件違反及びサポート要件違反の4つの無効理由を主張した。 【争点】 1. 取消事由1(新規性の判断の誤り):甲1発明に本件発明の「代入用スクリプト」が開示されているか、本件審決の相違点2及び3の認定に誤りがあるか。 2. 取消事由2(進歩性の判断の誤り):相違点2及び3に係る構成が甲1発明から当業者にとって容易に想到し得るか。 3. 取消事由3(実施可能要件違反):文書ファイルの自ノード変数データの値を書き換えない態様について、明細書に実施可能な程度の記載があるか。 4. 取消事由4(サポート要件違反):文書ファイルの内容を変更しない態様が発明の詳細な説明に裏付けられているか。 【判旨】 裁判所は、原告主張の取消事由をいずれも排斥し、請求を棄却した。取消事由1について、甲1発明における属性値の代入の仕組みは、本件発明の「代入用スクリプト」とは異なるものであり、甲1には自ノード変数データと上位ノード変数データを利用した演算により自ノード変数データの値を求める代入用スクリプトの開示はないと認定した。したがって相違点2及び3は実質的なものであり、新規性は否定されないとした。取消事由2についても、甲1にはノードデータに代入用スクリプトを含ませる方法について記載も示唆もないことから、容易想到性を否定した。取消事由3については、本件明細書に評価ボタンにより代入用スクリプトを実行し表示を変更する態様が明確に記載されており、更新ボタンを押さなければ文書情報に反映されない態様を含め実施可能要件に適合するとした。取消事由4についても同様の理由でサポート要件違反は認められないとした。