AI概要
【事案の概要】 原告ら9名は、被告会社(「七福神」の名称で事業を運営)との間で、いわゆる「給料ファクタリング」と称する取引を繰り返していた。この取引は、原告らが自己の給与債権を被告に譲渡し、被告から額面額より低い譲渡代金を受け取る一方、給与支給日に額面額全額を被告に支払うというものであった。被告はインターネット上で「即日融資に代わる即日振込可能」「他の金融機関でお金を借りられないビジネスパーソンを支援」等と広告していた。原告らは、本件取引の実質は金銭消費貸借契約であり、貸金業法に違反し公序良俗に反して無効であるとして、被告に支払った金員全額について不当利得返還請求権に基づく返還を求めた。被告は公示送達による呼出しを受けたが、口頭弁論期日に出頭しなかった。 【争点】 1. 給料ファクタリング取引が貸金業法・出資法にいう「貸付け」に該当するか 2. 被告から原告らへの金員交付が不法原因給付に当たり、原告らの請求額から控除されないか 3. 被告が悪意の受益者に当たるか 【判旨】 裁判所は、原告らの請求を全部認容した。まず、本件取引の法的性質について、給与債権が譲渡された場合でも労働基準法24条1項により使用者は労働者に直接給与を支払わなければならず、譲受人が使用者に支払を求めることは許されないことから、本件では原告らを通じた債権回収が契約当初から想定されていたと認定した。さらに、支払期限までに支払わない場合には勤務先への債権譲渡通知という心理的圧力により支払を事実上強制する仕組みであったことも指摘し、本件各契約は経済的に貸付けと同様の機能を有するものであり、「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法」による金銭の交付に該当すると判断した。年利率は少なくとも250%を超え、貸金業法42条1項所定の年109.5%を大幅に超過するため、本件各契約は同項により無効であるとした。返還範囲については、被告の行為は債権譲渡契約に名を借りた著しく高利の貸付けという反倫理的行為であるから、被告から原告らへの金員交付は不法原因給付に当たり、損益相殺の対象とすることは許されないとして、原告らが支払った金員全額の返還を命じた。