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下級裁

損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成29ワ2052
事件名
損害賠償請求事件
裁判所
京都地方裁判所
裁判年月日
2021年2月17日
裁判官
野田恵司鈴木紀子三宅由美子

AI概要

【事案の概要】 京都大学医学部附属病院(被告病院)で、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬ソリリス(エクリズマブ)の投与を受けていた29歳の女性患者が、髄膜炎菌感染症により死亡した事案である。ソリリスは補体の働きを抑制する薬剤であり、その作用機序から髄膜炎菌感染症の発症リスクを著しく高める重大な副作用がある。添付文書には、同感染症が疑われた場合には直ちに抗菌薬を投与すべきことが明記されていた。患者は平成28年8月22日午前中にソリリスの投与を受けた後、同日午後に急激な悪寒と39.5度の高熱を発症し、産科に電話したが、助産師は乳腺炎と判断し翌日まで様子を見るよう指示した。同日午後9時過ぎに容態が悪化して救急外来を受診し、産科から血液内科に引き継がれたが、当直のh医師は抗菌薬を投与せず経過観察とした。翌23日午前4時25分に全身に紫斑が出現しショック状態に陥り、その後抗菌薬が投与されたが、同日午前10時43分に死亡した。患者の遺族である夫と長男が、被告病院を開設する京都大学法人等に対し、合計約1億8750万円の損害賠償を求めた。 【争点】 主な争点は、(1)血液内科主治医の副作用周知義務違反、(2)産科主治医の副作用周知義務違反、(3)助産師の受診指示義務違反、(4)産科i医師の受診指示義務違反、(5)血液内科h医師及び産科i医師の抗菌薬投薬義務違反、(6)各過失と患者死亡との因果関係、(7)病院長の代理監督者責任である。特に争点(5)では、h医師が髄膜炎菌感染症を鑑別疾患として認識しながらも、白血球数やCRP値が正常に近いことを理由に経過観察としたことの当否が中心的に争われた。 【判旨】 裁判所は、まず助産師の過失(争点3)について、助産師が医師の指示を求めず自ら乳腺炎と判断して翌日まで様子を見るよう指示したことは、助産師の業務範囲を逸脱するものとして注意義務違反に当たると認定した。ただし、この過失と患者の死亡との因果関係は認めなかった。次に、h医師の過失(争点5)について、添付文書の「髄膜炎菌感染症が疑われた場合」の意味を詳細に検討し、積極的に疑われる場合に限らず、相応に疑われる場合も含まれると解釈した。そして、CRPや白血球の数値が低くても細菌感染の可能性は否定できず、添付文書に列記された発熱・頭痛・嘔吐等の初期症状が認められる以上、速やかに抗菌薬を投与すべきであったと判断した。経過観察という選択は、致死的な経過をたどるリスクと抗菌薬投与のリスクを比較すると正当化されないとし、院内調査報告書やセンター調査報告書の見解も排斥した。因果関係についても、午後11時43分頃までに抗菌薬を投与していれば救命できた高度の蓋然性があったと認定し、被告法人に対して遺族2名に各6758万0120円(合計約1億3516万円)の支払を命じた。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。