AI概要
【事案の概要】 原告(幸南食糧株式会社)が、被告(東洋ライス株式会社)の保有する特許(「旨み成分と栄養成分を保持した無洗米」に関する発明、特許第4708059号)について特許無効審判を請求したところ、特許庁が「審判の請求は成り立たない」との審決をしたため、原告がその取消しを求めた事案である。本件特許は、玄米粒の糊粉細胞層までを摩擦式精米機で除去し、栄養成分や旨み成分を含む亜糊粉細胞層を米粒表面に露出させた状態で、無洗米機により肌ヌカのみを除去する無洗米及びその製造方法に関するものである。 【争点】 (1) サポート要件違反(特許法36条6項1号)の有無(取消事由1)。原告は、亜糊粉細胞層が米粒表面に露出している事実が実証されていないこと、その確認方法の記載がないこと、実施例が1例のみで実施条件が不明であること、図面代用写真が示されていないこと等を主張した。 (2) 明確性要件違反(同項2号)の有無(取消事由2)。原告は、明細書記載の実施態様が特許請求の範囲に記載されていないこと、「無洗米機」の意味が不明確であること、請求項3が製造方法の発明でありながら製造方法に関する特定事項がないこと等を主張した。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、いずれの取消事由も理由がないと判断した。 取消事由1(サポート要件)について、本件明細書には、亜糊粉細胞層を米粒表面に露出させるための精米行程・装置の条件、白度や黄色度に着目して搗精の終了時期を判断する方法、試験搗精による事前条件確認、無洗米機による肌ヌカ除去の方法が開示されており、当業者が課題を解決できると認識できる範囲のものであるとした。原告が提出した「金芽米」の電子顕微鏡写真については本件発明の実施品であるとの立証がないとして排斥し、無洗米機の構成が限定されていないことはサポート要件違反とはならないとした。 取消事由2(明確性要件)について、本件発明の特定事項は、出願時の技術常識を踏まえても、当業者において発明の内容を理解でき、第三者に不測の不利益を及ぼすほど不明確とはいえないとした。「無洗米機」の用語も当業者が理解できるものであり、「洗米機」とは明確に区別されるとした。