AI概要
【事案の概要】 本件は、「データ記憶機」(外付けハードディスク)を物品とする意匠権を有する被控訴人(株式会社バッファロー)が、控訴人(FFF SMART LIFE CONNECTED株式会社)の製造・販売するデータ記憶機の意匠が自社の登録意匠に類似するとして、意匠権に基づく製造・販売等の差止め及び廃棄と、不法行為に基づく損害賠償金約5407万円を請求した事案の控訴審である。原審(大阪地裁)は、差止め・廃棄請求を認容し、損害賠償として約3528万円の支払を命じたところ、控訴人が損害賠償認容部分のみを不服として控訴した。 【争点】 ①本件意匠と被告意匠の類否(争点1)、②被告製品のケースの製造・販売による意匠権侵害の成否(争点2)、③被控訴人の損害の有無及び額(争点3)が争われた。控訴審では特に、控訴人が、需要者が注目する部分の認定方法、本件意匠の要部認定、特許庁の非類似判定の考慮を主張するとともに、損害額の推定覆滅割合を9割とすべきこと及び実施料率を3%程度とすべきことを主張した。 【判旨】 控訴棄却。大阪高裁は、原判決を相当と判断した。意匠の類否について、データ記憶機はテレビやパソコンの付属機器としてケーブル接続して使用するものであるから、需要者は使用時の置き方を想定して購入するとし、縦置き・横置き両場合の正面や平面等における注目度を原審同様に認定した。控訴人が根拠とした乙51意匠については、本件意匠の「プレート」に相当する構成を有しないとして、基本的構成態様がありふれているとの主張を退けた。特許庁の非類似判定についても、その理由及び結論は裁判所の判断と異なるとして採用しなかった。損害額について、推定覆滅割合を9割とすべきとの主張に対しては、控訴人が比較したのは製品全体の平均単価にすぎず、原告製品と被告製品の価格差は明らかでないとし、7割の覆滅を維持した。実施料率についても、控訴人が根拠としたアンケート調査は回答数が25件と少なく意匠権単独の料率は調査されていないとし、本件意匠の価値やデザイン性への需要者の考慮、競合関係等を総合して5%を下らないとした原審の判断を維持した。