放送受信契約締結義務不存在確認請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和2ネ2643
- 事件名
- 放送受信契約締結義務不存在確認請求控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2021年2月24日
- 裁判種別・結果
- その他
- 裁判官
- 谷章雄、廣田泰士、和波宏典
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 被控訴人(原告)は、自宅に設置したテレビにNHKの放送信号のみを減衰させるカットフィルターが取り付けられており、NHKの放送を受信できない状態にあるから、放送法64条1項所定の「協会の放送を受信することのできる受信設備」に該当せず、NHKとの放送受信契約を締結する義務は存在しないと主張して、その確認を求めた。原審(東京地裁)は被控訴人の請求を認容したため、控訴人(NHK)が控訴した。本件テレビは、NHKの受信料徴収に批判的なAが市販のテレビを3000円で購入し、チューナー部分にカットフィルターを埋め込んだ上、アクリル板・アルミ箔で囲い、エポキシ樹脂で固めるという加工を施したものであり、民放は受信できるがNHKの放送は視聴できない状態であった。 【争点】 NHK放送信号のみを遮断するカットフィルターが取り付けられ、エポキシ樹脂で固定されたテレビが、放送法64条1項の「協会の放送を受信することのできる受信設備」に該当するか。また、同テレビを設置した被控訴人が放送受信契約の締結義務を負うか。 【判旨】 東京高裁は原判決を取り消し、被控訴人の請求を棄却した。裁判所は、放送法が公共放送と民間放送の二本立て体制の下、現実にNHKの放送を受信するか否かを問わず、受信設備を設置することによりNHKの放送を受信できる環境にある者に広く負担を求める仕組みを採用していることを確認した。その上で、放送法64条1項の「協会の放送を受信することのできる受信設備」とは、NHKのテレビジョン放送を受信できる受信機としての機能を有する設備をいい、仮にNHKの放送のみを受信不能にする付加機器が取り付けられたとしても、それを取り外したり機能を停止させたりすることでNHKの放送を受信できる状態にすることができる場合には、その難易を問わず、同項所定の受信設備に該当すると判示した。本件テレビについては、ブースターと加工済みケーブルを用いる方法や、アクリル板をニッパで切除してケーブルを直結させる方法により、NHKの放送を受信できる状態に復元可能であると認定し、被控訴人が受信料負担を免れる目的でこのような工作がされた場合に緩やかな基準で契約締結義務を免れると解することは、NHKの財政的基盤確保のための実効性ある手段として認められた同条項の趣旨に沿わないとして、被控訴人は放送受信契約の締結義務を負うと結論づけた。