不正競争行為差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告は、建設現場用の特注パレットや台車等を中国の大連浩達貿易有限公司から仕入れ、被告会社に販売する取引を約10年間継続していた。原告の元従業員である被告Aは、原告在職中に特注台車等の仕入業務を担当していたが、退職後、被告会社に就職した。被告会社は、被告Aの入社後、原告を介さず大連浩達から直接仕入れを開始し、原告との取引を終了した。これにより原告は売上の約68%を失い、休業届を提出するに至った。原告は、被告らに対し、仕入価格情報(本件価格情報)が営業秘密に該当し、被告Aがこれを不正に取得・開示したとして不正競争防止法に基づく差止め及び損害賠償(1億1600万円)を請求するとともに、予備的に一般不法行為に基づく損害賠償を請求した。 【争点】 (1) 本件価格情報の営業秘密該当性(秘密管理性・有用性・非公知性) (2) 被告らによる不正競争行為の有無 (3) 被告らの行為の一般不法行為該当性 【判旨】 裁判所は原告の請求をいずれも棄却した。 まず秘密管理性について、本件価格情報は被告Aの個人メールアドレスで送受信され、私的なメールと分別されずアクセス制限もかけられていなかったこと、雇用契約等の秘密保持条項においても秘密の対象が具体的に特定されておらず、退職時にメール削除も求められなかったことから、「秘密として管理」されていたとは認められないとした。 次に不正競争行為の有無について、被告Aが本件価格情報を被告会社に開示し使用したことを具体的に示す証拠はなく、大連浩達との取引は見積りに基づく価格交渉で行われるものであり、過去の仕入価格情報が不可欠とはいえないとして、不正競争行為の存在を否定した。 一般不法行為該当性についても、被告Aの退職は原告代表者自身が事業の受皿会社への移行を提案したことに端を発するものであり、被告会社が被告Aを違法に引き抜いた事情はないこと、原告は被告Aの退職後に代替担当者を配置せず取引継続のための努力を怠っていたこと、被告会社が大連浩達に対し原告との取引中止を不当に働きかけた事実もないことから、被告らの行為は自由競争の範囲を逸脱するものではないとして不法行為の成立を否定した。