AI概要
【事案の概要】 指定暴力団住吉会の傘下組織の構成員らが関与して行われた大規模な特殊詐欺事件の被害者ら(第1事件・第2事件合計45名)が、直接の行為者である組員らに対し共同不法行為に基づく損害賠償を、住吉会の総裁(亡E)、会長(被告B7)及び会長代行(被告B8)に対し暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)31条の2又は民法715条に基づく損害賠償を、それぞれ求めた事案である。詐欺の態様は、架け子グループが被害者に電話をかけ、実態のない会社の社債券購入名目や名義貸しを巡る損害賠償請求回避名目等で現金をレターパック等で送付させるというものであり、受け子グループが詐取金を受領していた。亡Eの死亡後はその相続人らが訴訟手続を受継した。 【争点】 (1) 被告行為者らの共同不法行為責任の成否、(2) 被告行為者らの暴対法31条の2の「指定暴力団員」該当性、(3) 亡E・被告B7・被告B8の同条の「代表者等」該当性、(4) 本件各詐欺行為の「威力利用資金獲得行為」該当性、(5) 損害額及び過失相殺の適否、(6) 第2事件における消滅時効の成否。 【判旨】 一部認容・一部棄却。裁判所は、捜査報告書や押収資料等に基づき、大部分の原告について被告行為者らの関与した特殊詐欺による被害を認定した(ただし客観的証拠による裏付けがない送金額は認定せず)。暴対法上の争点について、まず下部組織の構成員も「指定暴力団員」に当たると判示した。「代表者等」該当性については、亡Eは住吉会を「代表する者」と公示されており擬制的血縁関係の頂点にあったとして代表者に該当するとし、被告B7・B8も会長・会長代行等として運営を支配する地位にあったと認定した。「威力利用資金獲得行為」については、同条の「威力を利用して」とは被害者に威力が示される必要はなく、資金獲得のために何らかの形で威力が利用されれば足りるとした上で、上位者が組織内の階層構造における絶対的服従関係を利用して下位者に受け子役を指示したこと、暴力団員であることを認識している非構成員にも恐怖心を利用して詐欺行為に従事させたことから、威力利用資金獲得行為に該当すると判断した。過失相殺の主張については、組織的な故意の不法行為であり違法性が高いことから相当でないとして排斥した。消滅時効については、原告A45が加害者を知ったのは弁護士から説明を受けた平成29年7月26日であるとし、第2事件提訴(平成30年7月5日)までに3年は経過していないとして時効の主張を退けた。