住居侵入,強盗致死,強盗殺人
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人Aは、自らが営む事業の資金繰りに窮し、知人を通じて、闇金業者である被害者(当時49歳)が自宅に多額の現金を保管しており、過去に空き巣被害に遭っても被害届を出していないとの情報を得た。被告人Aは、古くからの友人であり従業員でもある被告人Bを誘い、被害者方に侵入して現金を盗む計画を立てた。被告人Bは当初これを断ったが、被告人Aが繰り返し誘ったため最終的に協力を決めた。被告人らは、侵入方法、防犯カメラへの対処、携帯電話での連絡方法等を綿密に話し合い、複数回の下見も行った。 令和元年11月14日、被告人Bが被害者方マンションにベランダから侵入したが、現金は見つからなかった。物色を続ける中で被害者が帰宅し、もみ合いとなった被告人Bは、刃物で被害者の右頸部や背面上部等を9回以上突き刺し、出血性ショックにより死亡させた上、財布や自動車(時価約90万円相当)を強取した。被告人Aはマンション付近で見張り役として待機していた。 【争点】 本件の争点は、被告人両名が事前に「場合によっては強盗すること」を合意していたか否かである。被告人Aは、あくまで空き巣の計画であり、被害者が帰宅する可能性は考えていなかったと公判で主張した。 裁判所は、被告人らが被害者の行動パターンを把握しておらず帰宅の可能性を当然想定していたこと、闇金の怖い人物というイメージを共有し護身用に刃物を持参する話をしていたこと、被告人Bが刃物をあらかじめ持参して侵入したと推認できること等を認定し、被告人Aの捜査段階の供述は事実関係と整合し信用できる一方、公判供述は不合理で信用できないと判断した。その上で、被害者が帰宅した場合には刃物を示して逃走したり、金品の取り返しを防いだり強取したりすることが被告人らの共通の想定範囲内にあったとして、強盗についての共謀を認めた。 【判旨(量刑)】 裁判所は、空き巣に関しては相当の計画性があったが強盗自体の計画性は高くないとした上で、殺害行為は頸部付近を中心に9回以上刺すという危険性の大きいものであり、殺意も強かったと認定した。被害者を刺した後も救命措置をとらず物色を続けた点は、人命を軽視する態度として厳しく評価された。動機についても、被告人Aは自己の資金繰りのため、被告人Bも安易に加担したもので、いずれも酌むべき点はないとした。 被告人両名の役割はほぼ同等としつつ、被告人Aは発案者かつ主導的立場にあったが殺意がなかった点を考慮し、被告人Bは実行犯として被害者を殺害した点で役割が大きいとした。検察官はいずれも無期懲役を求刑したが、裁判所は被告人Aについては酌量減軽を行い懲役29年、被告人Bについては無期懲役を言い渡した。