AI概要
【事案の概要】 被告は、「加除圧制御システム及びその制御方法並びに血管強化方法」に関する特許(特許第5255722号)の特許権者である。原告は、同特許の請求項1、12及び21に係る発明について特許無効審判(無効2018-800148号)を請求した。特許庁は、被告による訂正請求のうち請求項21ないし31の訂正を認めた上で、請求項1及び12に係る発明の特許を無効とする一方、請求項21に係る発明(本件発明3)についての審判請求は成り立たないとする審決をした。本件発明3は、使用者の四肢にベルトを巻き付けて加圧力を付与する加圧工程と、加圧力を完全に除去する除圧工程とを交互に繰り返すことで、血管内皮細胞から生成される一酸化窒素を増加させて血管を強化する方法であり、除圧工程において加圧力が完全に除去された状態では特定部分を締め付ける加圧力(自然締付け力を含む)が付与されていないことを特徴とする。原告は、本件審決のうち請求項21に係る部分の取消しを求めて本件訴訟を提起した。 【争点】 本件発明3と先行文献(甲1:特開2007-125254号公報)に記載された発明(甲1-3発明)との相違点2、すなわち、除圧工程において加圧力が完全に除去された状態で「特定部分を締め付ける加圧力が付与されていない」(自然締付け力による加圧力も付与されない)との構成が、甲1-3発明及び技術常識等に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるか否か。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、相違点2の容易想到性を否定した本件審決の判断に誤りはないと判断した。甲1には、圧力制御手段の「下ピーク」のときに緊締具が所定の部位に与える締付け力について、自然締付け力と略一致するように制御する旨の記載はあるものの、自然締付け力による加圧力も付与しない状態に制御することについては記載も示唆もない。また、甲1-3発明は血流阻害による筋肉増強を目的とするものであるから、甲1に接した当業者が、下ピーク時に自然締付け力すら付与しない状態として血流を阻害しないようにする構成とする動機付けがあるとはいえない。原告は甲2発明が血管強化方法を開示している旨主張するが、甲2は血管の弱いメタボリック症候群患者に対する治療装置等に関する発明であって血管強化方法に関するものではない。さらに、甲6のバンドを外す方法についても、甲1-3発明のように緊締具を付けたまま加除圧を繰り返す方法において、下ピークにする度に緊締具を外し上ピーク前に付け直すような変更を施すことは想定できず、適用する動機付けもない。