AI概要
【事案の概要】 被告人(当時大学生)が、共犯者らと共謀の上、国の持続化給付金制度を悪用して給付金名目で現金を騙し取った詐欺3件と、大麻を所持した大麻取締法違反1件の事案である。 詐欺の各犯行の態様は、持続化給付金の不正受給者を募り、実際には個人事業者ではない者について、美容業や建設業を営む個人事業者であるかのように偽った虚偽の確定申告書等を作成し、中小企業庁の申請サイトから持続化給付金の給付を申請して、審査担当者らを誤信させ、各100万円(合計300万円)を振込入金させて騙し取ったというものである。被告人は、共犯者Aらと役割を分担し、自身が不正受給者となったほか(第2)、同じ大学の学生B及びJを不正受給者として勧誘・斡旋し(第1・第3)、虚偽の確定申告書の作成や申請手続を行うなど、組織的な犯行に関与した。被告人は、自身が不正受給者となった場合に50万円、斡旋した場合に1件8万円の報酬を得ていた。 大麻取締法違反の犯行は、令和2年9月29日、自宅において、自己使用目的で大麻を含有する植物片約0.153グラムを所持したものである。被告人は令和元年12月頃から大麻を使用するようになっていた。 【判旨(量刑)】 懲役2年6月、執行猶予4年(求刑:懲役2年6月)。大麻草1袋を没収。未決勾留日数中60日を算入。 裁判所は、新型コロナウイルスにより所得が減った個人事業者を支援するための国の制度を悪用した巧妙かつ悪質な犯行であり、被告人は不正受給者の勧誘・斡旋等を行って大きな役割を担い、報酬欲しさという動機に酌むべき点はなく、本件以外にも同種犯行に及んでおり規範意識が鈍麻していると指摘した。大麻所持についても、違法薬物に対する親和性が認められるとした。 他方、被告人が事実を認めて反省の態度を示していること、父親が情状証人として出廷し監督を約束していること、共犯者らがそれぞれ被害回復を図っており被告人も自身の利得分を弁済するとともに不正受給分の全額弁済の準備をしていること、大学から退学処分を受けるなど社会的制裁を受けていること、前科前歴がないことを酌むべき事情として考慮し、刑の執行を猶予した。