AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社サンセイアールアンドディ)は、発明の名称を「遊技機」とする特許出願(特願2016-228517号)について拒絶査定を受け、拒絶査定不服審判(不服2019-9250号)を請求するとともに手続補正を行った。本件補正発明は、パチンコ機等の遊技機において、複数の識別図柄群(左・右・中)が変動表示され、左右の図柄が一致せずリーチ態様が構成されていない状態で、中の図柄群が停止して特殊組み合わせが構築されたときに、左右それぞれの図柄によるダブルリーチ状態に変化する「リーチ変化演出」が実行可能であることを特徴とするものである。特許庁は、本件補正発明は引用発明(特開2002-200260号)及び引用文献2(特開2013-17525号)に基づき当業者が容易に発明できたとして補正を却下し、本願発明は引用発明と同一であるとして審判請求不成立の審決をした。原告がその取消しを求めた。 【争点】 (1) 手続違背の有無(取消事由1):第2次補正却下決定と本件審決とで拒絶理由が異なるにもかかわらず、新たな拒絶理由通知をせず反論の機会を与えなかった手続違背があるか。具体的には、本件補正発明の構成Ep(リーチ態様が構成されていない状態)に対応する引用文献1の記載が、却下決定では「図6の状態」、審決では「図4の状態」と異なるかが争われた。 (2) 本件補正発明の進歩性判断の誤り(取消事由2):引用発明との一致点(E'の構成)の認定及び相違点の容易想到性の判断に誤りがあるか。原告は、引用文献1の図4の状態は最終的なリーチ図柄が未確定の段階にすぎず、図5・図6の途中状態を経てリーチ図柄が決まるのであるから、一致点の認定は誤りであり、また引用文献2の適用には阻害要因があると主張した。 【判旨】 請求棄却。取消事由1について、裁判所は、本件拒絶理由通知及び第2次補正却下決定のいずれにおいても、引用文献1の「図6の状態」を構成Epに対応させたものとは認められず、むしろ「図4の状態」が構成Epに相当することを示したものと認定した。したがって、却下決定と審決とで拒絶理由が異なるとする原告の主張はその前提を欠き、手続違背はないとした。取消事由2について、裁判所は、引用文献1の図5及び図6は再変動過程の態様を示したものにすぎず停止・擬似停止した図柄ではないこと、図6の状態を必ず経由しなければならないとの開示もないことから、E'の構成を一致点とした審決の認定に誤りはないとした。相違点の容易想到性についても、引用発明と引用文献2は遊技機の図柄変動表示における興趣向上という共通の課題・演出技術に関するものであり、引用文献2の適用には動機付けがあるとし、原告主張の阻害要因も認められないとして、本件補正発明の進歩性を否定した審決の判断を維持した。