AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社サンセイアールアンドディ)は、発明の名称を「遊技機」とする特許出願について、特許庁から拒絶査定を受け、拒絶査定不服審判を請求したが、特許庁は「本件審判の請求は成り立たない」との審決をした。本願発明は、パチンコ遊技機における擬似連続演出(図柄が仮停止後に再変動する演出)を利用し、単位演出の発生を契機として識別図柄群の構成を変化させる「図柄群変化演出」に関するものである。具体的には、識別図柄が「基本要素部」と「属性要素部」の二つの要素部を含み、単位演出の発生後に第二属性の図柄が基本要素部を維持しつつ属性要素部を変化させて第一属性の図柄になるという構成を特徴とする。審決は、本願発明は引用文献1記載の発明、引用文献2記載の技術及び周知技術に基づき当業者が容易に発明できたとして進歩性を否定した。原告はこれを不服として審決取消訴訟を提起した。 【争点】 (1) 手続違背の有無(第2次補正の却下決定に対する審理不尽、新たな拒絶理由通知の欠缺) (2) 引用文献1を主引用例とする進歩性判断の誤り(一致点の認定の誤り・相違点の看過、相違点1ないし3の容易想到性の判断の誤り) 【判旨】 裁判所は、取消事由2(進歩性の判断の誤り)について理由があると判断し、審決を取り消した。まず一致点の認定について、本願発明の「識別図柄」は「基本要素部」と「属性要素部」の二つの要素部を含むものであるところ、引用文献1に開示された「飾り図柄」は黒色同一色彩の数字図柄であり、図柄の種類を視覚的に区別できる要素は「数字」以外に存在せず、確変図柄か非確変図柄かは図柄番号の偶数・奇数によって固定的に分類されているにすぎないから、上記二つの要素部を有する「識別図柄」とはいえないとした。したがって、引用発明は本願発明の発明特定事項Eの構成を有するとはいえず、審決には一致点の認定の誤り及び相違点の看過があるとした。次に容易想到性について、引用発明と引用文献2記載の技術とでは遊技の興趣向上のために着目する観点が相違し(引用発明はチャンス目の種別・背景画像の変化、引用文献2は確変図柄の割合の大きさ)、引用発明に引用文献2記載の技術及び周知技術を適用する動機付けを認めることはできないとして、審決の容易想到性の判断にも誤りがあると判断した。