AI概要
【事案の概要】 原告(ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー)は、「HFO-1234yfと、ゼロ重量パーセントを超え1重量パーセント未満のHFO-1243zf及びHFC-245cbとを含む組成物」に関する特許権(特許第5701205号)の特許権者である。原告は、被告(AGC株式会社)が製造・販売する冷媒製品「AMOLEA 1234yf」が上記特許発明の技術的範囲に属すると主張し、特許法100条1項・2項に基づく差止め及び廃棄、並びに民法709条・特許法102条2項に基づく損害賠償金1億円の支払を求めた。 【争点】 (1) 被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか(構成要件充足性)、(2) 本件特許が無効審判により無効にされるべきか(明確性要件違反、実施可能要件違反、サポート要件違反、補正に係る新規事項の追加、新規性・進歩性欠如)、(3) 訂正による対抗主張の可否、(4) 損害額。裁判所は、事案に鑑み、まず補正に係る新規事項の追加(争点2-4)から判断した。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、本件特許の補正(本件補正)が新規事項の追加に該当し、特許法17条の2第3項に違反すると判断した。出願当初の請求項は、HFO-1234yfに対する「追加の化合物」を多数列挙するにとどまり、その中からHFO-1243zfとHFC-245cbという特定の2化合物を選択して組み合わせることは、当初明細書等に何ら記載されていなかった。当初明細書の実施例(表6)にはHFC-245cb等が記載されているものの、多数の化合物の中から特にこの組合せに着目する理由は示されておらず、当業者がそのような構成を導き出す動機付けとなる記載も認められないとした。したがって、本件補正は当初明細書等から導かれる技術的事項とは異質の新たな技術的事項を導入するものであり、本件特許は無効にされるべきであるとして、原告の請求を全て棄却した。